こんにちは!GA MAG.編集部の森泉です。
5分でわかるGAグループ「RENOSY X」、「RENOSY ASSET MANAGEMENT」編に続いて、今回はイタンジ株式会社(以下「イタンジ」)代表取締役の野口へのインタビューを交えながら、不動産業界の異端児であるイタンジをご紹介します。
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2012年6月に設立されたイタンジは、不動産賃貸取引を滑らかにするサービスの開発・運営を行うIT企業です。これまで、不動産賃貸の業務と手続きをなめらかにするプラットフォーム「ITANDI BB(イタンジビービー)」や「ITANDI BB+(イタンジビービー プラス)」を始め、さまざまなサービスを生み出してきました。また、2019年9月には入居希望者がスマホ1つで即日内見から申し込みが可能な、セルフ内見型賃貸サービス「OHEYAGO(オヘヤゴー )」をリリースしました。
2012年から上記のミッションを掲げているイタンジは、入居者への不動産サービス提供、不動産会社へのシステム提供などの分野に特化してSaaS(※)事業を行っています。
CRAZY Enough? それはクレイジーか
First-mover advantage 即決して即行動
OUTPUT Your Ideas 自分の思考を表現しよう
Be The FIRST PENGUIN 誰も居ないところへ飛び込め
Is There a VALUE? それに価値はあるのか
(※)SaaSは「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略で、クラウドで提供されるサービスのことを指します。
森泉:なぜこのミッションを掲げたのですか?
野口:私が代表を務める前に伊藤という者が代表を務めていたのですが、彼はずっと不動産業を営んでいたので、業界についてよく知っていました。私たちは、いわゆるデジタルネイティブなので、不動産業のレガシーなところに早くから注目していました。
「なぜ不動産業界にテクノロジーが入りきっていないのだろう」と疑問に思ったのです。
2014年に参画したイタンジは私にとって初の不動産業でしたが、不動産業に携わっている人であれば、この疑問を持つ人は多いのではないかなと思います。そういった背景から「テクノロジーで不動産取引をなめらかにする」ということを掲げました。
森泉:これは経営理念を体現したなと感じた事例はありますか?
野口:先ほど質問いただいたミッションも、人によって「なめらかな取引」の定義が違うと思うんです。賃貸取引には管理会社、仲介会社、入居者、オーナーがいて、私たちがどこの立場に立つのか非常に難しいところだと思っています。例えば、取引関係者全員がグループチャットに入れば、若い世代は便利だと思う一方で、年配のオーナーの中には、電話やFAXで欲しいと思う方もいらっしゃる。あちらを立てればこちらが立たぬという状態で、不動産業界は非常に複雑です。
そんな中でも「不動産取引をなめらかにしたな」と実感したのは、入居者が今まで手書きしていた申込書がスマートフォンで申請できるようになったことですね。年間28万件の入居申込を電子化できているので、かなり貢献できているのではないかと思っています。
また、今までの不動産賃貸業は業務が膨大にあり、繁忙期には終電で帰ることが日常茶飯事だったのですが、ぶっかくんやノマドクラウドを導入された多くの企業様から、売上を伸ばしながら、社員が早い時間に帰宅できるようになったとのコメントをいただいています。入居申込システムを利用くださった入居者様も80%くらいが「電子申込を人にも勧めたい」と言われています。
不動産会社の業務効率化と、入居者の体験向上を両立できた時は、経営理念を体現したなと感じましたね。
賃貸物件への入居申込情報と募集情報を即座に同期させることにより、リアルタイムで賃貸可能な物件を検索できる不動産業者間サイトです。一般の不動産業者間サイトとの違いは、入居申込があった瞬間にサイト上の物件ステータスは更新され、リアルタイムの正確な情報が反映されるため、管理会社様、仲介会社様双方にとって、物件確認(空室か否か)をする手間が無い点です。現在、約38,000店舗の仲介拠点で利用され、withコロナ時代の新たな生活様式に対応した不動産賃貸業務の実現を推進しています。
顧客管理機能を有し、物件検索から内見、入居申込、契約、更新、退去手続きまでを一気通貫でサポートする、不動産賃貸業務のDXサービス群です。withコロナ時代の新たな生活様式に対応した賃貸不動産業務の実現を推進し、現在、約2,200店舗の管理拠点で導入されています。
このサービスを利用すると書類の一元化によりFAX書類の処理や必要書類が揃っているかどうかを手作業で確認する作業などがなくなったり、入居者が記入した情報をスタッフがパソコンに打ち込む単純作業による残業が少なくなるため、自動化できるところは自動化をして、スタッフは入居者の不安や現段階でAIだけでは答えられないことを解決できるようになります。
現在、一般的な部屋探しは、入居者が物件ポータルサイト等で物件を検索して、その物件を掲載している仲介会社と連絡をとり内見スケジュールを調整して、物件の申込も複数の書類を手書きで記入し、メールやFAXで送付する必要があるなど、非常に手間のかかるものです。
イタンジはこの部屋探し体験を変えるためにセルフ内見が可能な体制を構築し、店舗を構えず、オンラインでスムーズにスマホ1つでの部屋探しを可能にしています。さらにITANDI BBと連携しているため、リアルタイムで物件のステータスを更新。入居が決まった物件がいつまでも表示されないため、おとり物件がなく、隙間時間に部屋探しが可能になるサービスです。
こうしたサービスにより、不動産業界のDXが推し進められ、入居者にとっては不動産賃貸取引の体験が良くなり、不動産会社にとっては業務効率化につながっているのですね。
森泉:以前、野口さんは「プロダクトを生み出す背景には『誰かに喜ばれる仕組みを創りたい』というモチベーションがある」とお話しされていましたが、具体的にそれを感じた事例はありますか?
野口:ぶっかくんは私がはじめて考案しプロダクトです。今でも覚えているのは、3ヶ月以内に100万円の売り上げを出さないと、リリースしたばかりのぶっかくんを撤退させられる危機に直面した時です。多くの企業様に提案している中で、大手不動産会社様から高い評価をいただくことができ、そこからご紹介をいただいたり、口コミが広がったりと、事業拡大に繋がったときは嬉しかったです。
短期間で作ったプロダクトだったので、当然サービス資料もデザインも拙い部分が多くありました。それにも関わらず、サービスの可能性と私の熱量に共感して使ってくださいました。このご縁が今でも続いていることがモチベーションに繋がっています。
イタンジは2012年に設立されましたが、BtoCサービスでは今日の形に辿り着くまで、2、3回方向転換しても上手くいかず、失敗に失敗を重ねてきました。やっとサービスとして形になっていたシステムが入居者のニーズに答えられなかったり、収益モデルが合わなかったり…。
BtoCのサービスとしては、HEYAZINE(ヘヤジン)、nomad(ノマド)があり、3回目のチャレンジで現在のOHEYAGOが誕生しました。数々の困難を乗り越えてきたイタンジの沿革がこちらです。
森泉:事業のトライアンドエラーを繰り返した今見出した大事なものはありますか?
野口:人材と知的財産ですね。まず、賃貸のことを深く知って、なおかつITソリューションを考えられる人が極めて少ないのです。
私たちも創業初期は、不動産業のことを深く知っている者、ITを理解している者はそれぞれいたものの、不動産業における最適なITの解決策が分からなかったので、たくさん失敗していました。何度かの失敗を経て、「不動産業界ってこうあるべきなんだ」「こういうサービスを出したら使ってもらえるんだ」というビジネス的な感覚が分かるようになってきました。失敗から得た知財は強みでもあり、それらをどんどん次の世代に引き継いで、シェアしていくことが大事だと思っています。
森泉:働いているメンバーの特徴について教えてください。
野口:会社名が呼び寄せるのかもしれませんが、普通のことから外れたことをする人が多い印象です。例えば選択肢としてショートカット(より効率的な手段)はないのか、なんでこうなっているのかと常識を疑ったり、そういう意味ではイノベーティブな集団かもしれないですね(笑)
森泉:GAテクノロジーズとのクロスカルチャーでイタンジにどんな変化があったのでしょうか?
野口:一番はGAGS(※)の部分です。
イタンジは個人主義だったので、「結果を出せばいい」と合理さを重視する人たちが多かったんです。でも組織が大きくなるとそうはいきません。どんなに優れたプロダクトがあっても、働くメンバーがそれぞれ思い思いにやり出したら、組織が大きく成長していかないと感じました。
一歩二歩先で成長しているGAテクノロジーズに学んだことは、組織としての振る舞いと、どのような人間性を求めるのかの2点ですね。M&A直後にやめた人もいれば、続ける人もいて、自分自身を変えようとした人もいました。私も変化しなければいけないことを痛感した1人です。
(※)GAGSは、GA GROUP SPIRITSの略で企業価値観を指します。
森泉:イタンジが求めるDX人材像を教えてください。
野口:「業界の知識とデジタルな知識を合わせ持ち、将来のあるべき姿へ向けてIT投資の判断と行動ができる人材」ですね。
不動産の業務理解と、不動産ならではの慣習など業界知識は必要不可欠です。一方で、ITソリューションを考えるのは必ずしもエンジニアである必要はありません。システムによって何が解決されるのか、相手にどういった価値がもたらされるのかを理解した上で、具体的なITソリューションのロードマップを作り、形作っていくことができる人をDX人材と定義しています。
森泉:今後におけるイタンジの展開について教えてください。
野口:リアルタイムの物件データベースを集めていき、これらのデータベースを軸にして各業務支援サービスの競争優位性を高めていく予定です。物件のデータベースを集めていくもう一つの目的は、今まで提供していたリーシング(※)のシステムに加え、入居者を対象にした全く新しい入居後の生活プラットフォームを提供することです。
今まで、部屋探しができるメディアや、申し込みや契約ができるシステムはあったのですが、これらがカバーできていたのは「住むまで」でした。
今後は、必要な手続きが簡単にできたり、困ったときにすぐ相談に乗ってもらえたり、生活を豊かにするようなサービスが提供されているなど、今までの賃貸管理システムの概念を変えるようなプラットフォームを構築していく予定です。
(※)リーシングは、リース業務とも呼ばれ、賃貸物件の借り手(入居者)がつくまでのサポートを行うことです。
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いかがでしたか?読み終えた今、冒頭にもあったこちらの空白を埋めることはできましたか?
今回の記事を通してイタンジについてより理解が深まっていたら嬉しいです。
これからも5分でわかるGAグループシリーズを出すので、お楽しみに!
撮影:今井淳史
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
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