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安定収入を実現する業界初のプラン「NEOインカム」の誕生秘話

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社員インタビュー RENOSY PROFESSIONAL 教えて!クリス先生

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WORDS BY近藤 英恵
POSTED2022/06/01
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はじめにINTRO
DUCTION

こんにちは。
GA MAG.編集部の近藤(@konchanmax10)です。

アナログなやり取りが多く残る不動産取引では、不動産事業者の働き方をデジタルシフトするだけで、その先のお客様が受ける体験が大きく変化します。

しかし、時には、デジタルシフトやDXといった手段では解決できない構造的な問題があるのも事実。今回ご紹介するのは、そんな構造的問題をプロフェッショナルな視点から解決した業界初の取り組みについてです。

PROFILE
古澤 賢太郎クリストフ
筑波大学附属高等学校、慶應義塾大学法学部法律学科卒。同法務研究科修了。弁護士(70期)。都内法律事務所を経て、2018年11月にGAテクノロジーズに入社。経営戦略本部、社長室を経て、法務部のうちグループ全体の法令遵守とガバナンスを所管するCompliance and Governance Unitマネージャーを務める。2022年5月からは業務部長を兼務。

業界初の管理プラン「NEOインカム」とは

「NEOインカム」は、オンライン不動産取引マーケットプレイス「RENOSY」の不動産投資サービスでご利用いただける管理プランの一つです。

不動産オーナーが入居者に対して有する賃料債権(賃料を請求する権利)を当社(※1)が一括で買い取り、実際の賃料発生の有無にかかわらずその対価をお支払いする「将来集合債権譲渡型賃料収受スキーム(※2)」を利用した賃貸管理プランです。

賃貸借契約と賃料債権の関係図

早速、馴染みない言葉が続いておりますが、「NEOインカム」はなにが新しくて、どのような問題を解決しているのか。ここからは発案者 兼 プロジェクト担当者に詳しく解説していただきましょう。

(※1):この文中における当社はRENOSY ASSET MANAGEMENTを指します。RENOSY不動産投資でご購入いただきました物件の管理は、株式会社GA technologiesのグループ会社であるRENOSY ASSET MANAGEMENTが担います。
(※2):「将来集合債権譲渡型賃料収受スキーム」は現在、特許出願中です。

改めて、NEOインカムってなんですか?

近藤:NEOインカムの発案者 兼 プロジェクト担当者の古澤さん、改めて「NEOインカム」をご説明いただけますか?

古澤:NEOインカムは、RENOSYの不動産投資サービスでご利用いただける管理プランで、提供元はGAグループの不動産管理会社であるRENOSY ASSET MANEGMENT(以下、RAM)になります。

そもそも不動産投資は、オーナー様が物件を貸して入居者から賃料を得ていくのですが、その賃料を得る債権(賃料債権)をまとめてRAMが購入することで、オーナー様は安定的に賃料に相当する額を得ることができるというプランです。

近藤:賃料が入ってこなくてもそのリスクはRAMが負い、オーナー様は毎月安定収入を得られるということですね!

安定収入を実現する「NEOインカム」プランが必要だった理由

近藤:ですが、古澤さん。NEOインカムができる前にも安定収入のプランってありましたよね…。なぜ新しい枠組みが必要だったのでしょう?

古澤:従来はサブリースを採用していました。サブリースという言葉は、ニュースなどで耳にしたことがある人も多いと思います。このサブリースは、オーナー様と当社との関係ではマスターリースと呼ばれています。

マスターリースは、オーナー様と入居者様の間に当社のような不動産事業者が入ることで、空室の時であっても事業者が賃料として一定額をオーナーに支払うというプランです。お金の流れ自体はNEOインカムと一緒なのですが、法的観点でみるとマスターリースはオーナー様が不本意な立場に置かれることがあり、かねてから問題視されていました。

近藤:確かに、サブリースって言葉はちょくちょくニュースで見かけますね。ただ、「よくわからないけどトラブルになりがちなやつ」って印象です。
今回は、オーナー目線を軸にマスターリースのそもそもの課題を教えてください。

古澤:マスターリースは賃貸借契約を使うのですが、賃貸借契約を用いると、「借地借家法」という法の適用が不可避的となります。

では、何が問題なのか。

一般的に、物件を貸すまではオーナー様の立場が圧倒的に強いですよね。いくらで貸すか、誰に貸すか、決定権はオーナー様にある。でも、貸した瞬間から入居者の方が立場が強くなります。簡単には賃料もあげられませんし、追い出すこともできません。

入居者を守ることができる法律なので、通常の賃貸借契約であれば、特に問題はありません。しかし、マスターリースにおける事業者の立ち位置は、オーナー様から借りる立場で賃借人。事業者の方がオーナー様より強い立場になってしまいます。

ここで我々が特に懸念していたのは、オーナー様が事業者(管理会社)や管理プランを変えたいと思った時に、今の賃貸借と借地借家法の制限だとそれが簡単にできないということです。我々はそこにもっと自由度を持たせ、よりオーナーファーストな管理の実現を目指したというわけです。携帯のキャリアを乗り換えるイメージで管理会社を変える世界観があってもいいのではないか、そう考えました。

元ネタは歯医者さんの開業スキーム?!障壁はあったのか?

近藤:サブリースに代わるスキームとして採用されたのが、今回の「NEOインカム」。発案に至った背景を教えてください。

古澤:NEOインカムは「将来集合債権譲渡」というスキームになります。そして、この元ネタは歯医者さんの開業の際に用いられている金融手法です。

歯医者さんが開業するときってものすごいお金がかかるんですよ。
例えばレントゲンとか、電動の椅子とか。あれも一台600万円とか800万円とかかかるんですね。それを2〜3台準備しなきゃいけない。

だから自分の資金だけで開業できる歯医者さんってほとんどいなくて、大体どこからかお金を借ります。資金調達ですね。でも、お金を借りるにも担保が必要じゃないですか。ただ、開業前の歯医者さんって担保はないわけですよ。そうなった時に、金融業界が何を考えたかというと、その歯医者さんが開業して診察をした結果発生する診療報酬債権を担保にしようと。

開業する(お金を貸す)時、まだ患者さんは一人もいないわけで、この診療報酬債権は影も形もないわけですが、それでも、その債権を担保にしてお金を貸してあげますよ。っていうのが将来債権譲渡担保という考え方です。

それを参考にしたのが今回のNEOインカムです。

NEOインカムは全社表彰式「GREATES AWARDS」にてベストプロジェクト賞を受賞

近藤:「将来債権譲渡担保」を不動産取引で活用するまでに障壁などはありましたか?

古澤:障壁という障壁はなかったです。あくまでNEOインカムの「将来集合債権譲渡」は金融取引なので、不動産だからといって特別な対応をする必要はありません。

ただ、所得税法上、賃料収入と言われるものは不動産を貸して得られるもののことを指します。NEOインカムは持っている債権の取引になるので、不動産を貸して得る収入ではありません。そうなった場合、不動産投資の節税メリットがなくなってしまいます。そこで、国税庁に対してNEOインカムで得た収入は不動産所得(賃料収入)という整理で良いかと交渉したりはしましたね。

近藤:業界初だからこその交渉ですね。特に不動産取引は管轄や関係事業者が多いので、こうした説明は広範囲にわたりそうですね。

古澤:そうですね。国税庁の他には、金融機関や国土交通省、メディアなどにご説明しました。我々は長い目で見た時に、業界全体でマスターリース・サブリース契約をNEOインカムにシフトしていきたいと考えています。そのため、みなさんに安心してご利用いただけるように関係各所への説明はしっかり時間をかけて行いました。

「NEOインカム」のこれからについて

近藤:NEOインカムは2021年11月から提供を開始し、先日、「NEOインカム」「将来集合債権譲渡型賃料収受スキーム」の名称が商標登録されました。また、現在は、RENOSYだけでなく、グループ会社のリコルディでも管理プランとしても採用され、着々と利用者数を伸ばしています。そんな、NEOインカムの今後について教えてください。

古澤:サブリースというのはオーナー様の利益を考えて作られていますが、賃料下落に耐えられなかったり、簡単に解約できない自由度の問題などで、長期的には持続しづらいスキームなんです。オーナー様が損をするか、事業者が損をするか、どちらかに負担がかかってしまいます。一方、オーナー様は管理会社がいないと物件を貸し出せませんし、管理会社はオーナー様がいないと物件を貸せません。だから賃料が上がればオーナー様も事業者側も、そこから利益を得られるべきですし、賃料が下がった場合に、どちらかだけが損をするというのもおかしな話です。同じ船に乗っている以上、利益も損失も出来るだけフェアに分配するべきだと思うんです。

NEOインカムが、これからのスタンダード商品になっていくことを願っていますし、我々だけがこのスキームを売っていっても不動産全体の流通という観点ではそんなにインパクトを与えることはできません。他の事業者様にも使っていただけるようなスキームになっていけばと思っています。

EDITOR’S PROFILE
近藤 英恵
2018年新卒でGAテクノロジーズに入社。Communication Design Centerに所属し、コピーライター 兼 広報として日々奮闘中。POPな文章でGAの日常を発信していきます😎ツイッター気軽にフォローしてください✨
特技:早起き/趣味:鶏胸肉の調理・深夜ラジオ
Twitter:@Konchanmax10
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2022/06/01
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