こんにちは、GA MAG.編集部の近藤です。
2022年5月、RENOSYは初となる統合型キャンペーンを実施。
OOH(屋外広告)やタクシーCM、新聞広告にて「ネット不動産」の普及と「ネット不動産は、RENOSY。」というメッセージを展開しました。
今回のGA MAG.では、クリエイティブの柱となったCM企画を担当した株式会社Que取締役・岡部将彦さんと、キャンペーン全体のコミュニケーションを設計した弊社執行役員CCO・川村の対談をお送りします。
川村:僕らGAテクノロジーズが提供する「RENOSY」は、オンライン完結型の不動産取引を志し、不動産業務のデジタル化や情報の透明化を進めています。ただ、取引部分のラストワンマイルに法律の枷があって、契約は書面で行わなければなりませんでした。
それがちょうど一年前、デジタル改革関連法案というあらゆる分野のデジタル化を推進する法改正が決まり、48の法律が一括改正されることになりました。その中のひとつが不動産取引時の書面交付と捺印義務に関する改正です。
不動産取引の電子契約を解禁する法改正の施行が今年(2022年)の5月くらいになるとわかり、創業期からオンライン完結型の不動産取引を目指してきた我々にとって、このムーブメントを逃してはいけないと。
そこでネット証券・ネット銀行になぞらえてオンライン完結型の不動産取引サービスを「ネット不動産」と定義しキャンペーンを実施することにしたんです。
「ネット不動産」は初めて世の中に出てくる言葉なので、その定義と新しい価値観の提唱をPR的手法を中心に広げ、その後に広告キャンペーンを展開するというコミュニケーションデザインをしました。 大枠のキャンペーン設計をしたところで、広告の企画を岡部さんにお願いできればと相談したんです。
キャンペーン全体とその詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
「ネット不動産」をより多くの人へ。過去最大のキャンペーンを担当した若手PR
川村:はい、僕はGAテクノロジーズに入社する前、電通に勤めていて岡部さんはその時の先輩です。
岡部:僕らが一緒に働いていた時は、ちょうど広告の既存クリエイティブにパラダイムシフトが起きはじめた時期で、旧来式の広告から、コミュニケーションデザインといったデジタルやイベントなど複合的な要素を絡めていく変化の時でした。
だからCDCも「既存の枠組みのスタープレイヤー」と「既存の職種で束ねられない人たち」の大きく2派があって、川村くんは後者。営業・クリエイティブ・デジタルと全部まとめてやる、電通にあまりいない職種をしていたので、川村くんの下でプランナー/コピーライターとして入るパターンが何回かありましたね。
川村:もう10年くらい前ですけど、めちゃくちゃ畏れ多いですよ。
岡部:いえいえ、僕は既存派ほどスタープレーヤーではないです(苦笑)
川村:十分スターだったと思いますが、バランスのよい、橋渡し的存在でいらっしゃったと思います。
岡部:既存のやり方もよく知ってるけど、デジタル側の話も割と聞くみたいな立ち位置ですね。広告のデジタル化に合わせて、効果やビジネスへの貢献をより鮮明にしていこうとする中、既存のクリエイティブ派には「面白い方が目立つ、つまり効果が出るのである」という考えや、当時は「テレビCMこそ最強」という考えが根強くあって、そこがまだ変わり切れていなかった。僕は、そういうクリエイティブ的なことと、戦略的とかビジネス的なことのちょうど間が心地よくて、川村くんとはそういう仕事が多かったです。
川村:そうですね。今回、岡部さんにお願いしようと思ったのも、大きな戦略を作り、キャンペーンの方針を決めるところまでは僕ができる。じゃあ、僕やGAでやりきれない部分は、Queのような事業サイドに理解があり、事業に対してクリエイティブワークができるブティックに協力してもらおうと。事業会社の広告キャンペーンにブランドエージェンシーが入らない座組みというのは、僕にとっても大きなチャレンジだと思ったんですけど、感覚的には電通のCDCにいた時の仕事と同じような感じでした。
※スタッフリストは記事の終わりに記載しています。
川村:特に今回のキャンペーンはRENOSYの主張がはっきりしていて、「不動産取引が変わる」「ネット取引が変わる」「ネットで不動産取引が完結する」と、どれもストレートトーク。だからこそ、企画次第では、自社都合で言いたいことを言っているだけになってしまいます。
電通をやめてからは、岡部さんと直接会って話す機会はほとんどなかったんですが、なんの仕事をやっているか・今どういう感じなのかがわかるSNS社会。最近の岡部さんのお仕事を拝見して、ポケトークやタクシーアプリGOもそうですけど、プロダクトの特徴や強みの伝達とエンターテイメントのバランスが天才的だなと思っていて、是非お願いしたいと考えました。
岡部:ありがとうございます。偉くなった元同僚からお仕事をもらうのも嬉しいですけど、事業会社の知り合いから仕事のお声がけをいただくのが、一番嬉しいです。事業会社の場合、より効果に直結しないといけないわけですから、信頼してもらえているなと感じます。
岡部:まず、川村くんから「ネット不動産は、RENOSY。」とメッセージを打ち出したいんだと、明確なオリエンがありました。
事業や法改正の話を聞いて、おそらく、多くの不動産企業は法改正のあともしばらく様子見になるでしょうし、ネット不動産化を進めるとしても、今からRENOSYを超えるような準備ができるかと言ったら、やっぱりそれも難しい。それらを考慮しても、今、「ネット不動産は〇〇」の陣地を獲りに行けるのはRENOSYだけなんだろうなと思いました。
しかも、変に混じりっけを加えた「ネット不動産“も”RENOSY」とかではなく、「ネット不動産“は”RENOSY」。メッセージを一つに絞ることは覚悟が必要です。それを事業会社側からディレクションして、ここ(ネット不動産)を獲りたいんだと。単純に、チャレンジとして面白そうだなと感じました。
岡部:そこから、より詳しくネット不動産とかRENOSYの話を聞いていくと、社内でAIを研究している人がいるだとか、営業の数よりもエンジニアの数の方が多いだとか、不動産のイメージにはない特徴があって驚きました。
川村:僕もなるべく客観的にRENOSYやGAのことを見ようと意識しているのですが、僕らにとって当たり前になっていたことーーAI戦略室があるとか、エンジニアが営業より多いとかーーの価値を岡部さんのおかげで再発見できました。
岡部:僕、過去3回家を買ってるんですけど、それだけじゃなく、もともと出身が大阪で引っ越しや家を借りるって経験が多いんです。そうした中で、どこか不動産に対する不信感ーー不信感と言うと角が立ちますけどーーをどこかで感じていて。『正直不動産』ってドラマがヒットしているわけじゃないですか。それはどこかみんなの中にも「不動産は正直ではないんじゃないか?」って大前提があるからだと思うんです。
川村:そのインサイトありますよね(笑)。
岡部:昔から漫画に出てくる悪徳不動産含めて、なんとなく感じている不動産の良くないイメージと、それを変えようとしている人の話を企画の柱にしました。
川村:RENOSYが挑戦していることを、ビジネスドラマ風にやるのはとてもいいなと。岡部さんの企画プレゼンを聞いて「やっぱ、すげーな」ってなりましたし、「こっちの案もあるけど、違うよね」ってやらない方針も含めて全部で10案くらい提案してくれましたよね。
岡部:広告って消費者の立場で見ると、そんなに面白くない動画を15秒や30秒見なきゃいけなくて、タムパ的にはありえない。ただ、一個だけ広告を擁護する立場をとると、広告を一番見てくれる視聴者はインナー、つまり社員なわけです。だからインナーモチベーションを高める役割としても意味がある。特に今回のような、立ち上げる系のコミュニケーションにおいては重要だと考えていて、消費者に対して「私たちは何者で、こういうことをやりたいと思っているんです」と約束するのと同時に、社員が「自分たちのやろうとしていること」を再認識する。社長の言葉に近いような感覚なので、RENOSYの目指すものがわかりやすくなるようにとは意識しました。いくつか提案した中でも川村くんは間違いなくこの案を選んでくれるだろうな思っていました。
岡部:プランナーとして志の低い願いを言うのであれば、ずっとキャンペーンのシリーズを作っていきたいですね。染谷さんにライバルが出てきてとか、どんどん広がっていって、染谷さんを見たらRENOSYを思い出すようになっていけばいいなと思ってます。
川村:今回、RENOSYが宣言したことを、CMを通じて定点レポートしていくというか。RENOSYはどこまで実現しているのかとか、RENOSYが立っているネット不動産の現在地を、世の中にある不動産像とのギャップと絡めながら示していけたら面白いですよね。
岡部:そうですね。あと、プランナー目線ではもう一つあって。一番CMを作りにくい時って、ニュースがない時なんですよ。ニュースはないけど、続編を作ろうって時が一番しんどくて、前回と何を変えるべきかと苦戦します。なので、CMが作りやすい環境ーー御社内で新しいニュースが続々と出続ける状態ーーであり続けてくれるといいなと思っています。RENOSYがアップデートされていくことで、毎回それがテーマになっていければ、僕目線でいうと楽でいいなと(笑)
企業は「広告」と「行動」で作られています。広告でここまで宣言してしまった以上、企業はやらざるを得ない。だからこそ、RENOSYにはそのスピードで進化してくれることを期待してます。
川村:そうですね。何を言っているかよりも、何をやっているかが評価される世の中になって、人も企業も、言行一致してない人たちは淘汰されていく。3本の30秒CMで逆に僕たちは、サービスはもちろん、普段お客様に接するエージェントなどあらゆる社会との接点で、今回の宣言が偽りにならないような振る舞いをしていかなければなりません。社員たちも「これを嘘にしないように」と思っているはずです。
撮影:樋口 陽子
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
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企画制作:東北新社
CD:川村佳央
C:岡部将彦、近藤英恵
AD:山本真理子
Pr:戸田和也、海老澤伸
PM:上領玲央
ST:前田雅也
HM:光野ひとみ
PRプランナー:早田菜美、増田剛士
出演:染谷将太
CM
企画制作:Que
CD+企画:岡部将彦
演出:神谷佳成
撮影:儀間眞悟
照明:鳥羽宏文
美術:秋葉悦子
編集:岡本博一、小野秀一
音楽:坂口雄一
MIX+MA:太斉唯夫
ST:柚木一樹
HM:古久保英人
CRD:嶋田郁良
CAS:垰由紀子、元川益暢、中西竜太
NA:屋良有作
GR
企画制作:GA technologies
D:久保田芳枝
レタッチ:福井修
撮影:YOSHIMURA
製版+印刷:富士フイルムイメージングシステムズ
スタジオ:イメージスタジオ109
掲出
JR新宿・東京・品川・渋谷、東京メトロ銀座・表参道・上野・日本橋・新橋・赤坂見附・渋谷・大手町・東京・新宿・茅場町・六本木・六本木一丁目、大阪メトロ西梅田(5/16~5/22)