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自分の仕事に意義を見いだせる、誰もが当事者でいられる組織へ

執行役員就任者インタビュー:永嶋 章弘
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社員インタビュー 経営陣 ITANDI

Nov

25

Fri

WORDS BY浅野 翠
POSTED2022/11/25
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はじめにINTRO
DUCTION

新たな役員・執行役員就任者へのインタビューシリーズ。当シリーズでは新任者の経歴や就任の背景、そして今後の目的・意気込みについてインタビュー形式でお届けします。

今回インタビューするのは、新たにGAテクノロジーズ執行役員に就任した永嶋 章弘です。

PROFILE
  • 執行役員 COO of ITANDI
永嶋 章弘(ながしま・あきひろ)
新卒でニフティ株式会社にエンジニアとして入社、SNSマーケティングツールの開発に従事。創業期のイタンジ株式会社に入社し様々な新規事業を立ち上げる。事業の区切りを迎えたため株式会社メルカリに転職、メルカリNOW立ち上げなどに関わる。2018年、イタンジのGAグループ入りを機に執行役員として再入社、OHEYAGO事業、デザイン部門、マーケティング部門などを管掌。

コンピューターサイエンスの知見を、スタートアップで活かしたかった

- 永嶋さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

学生時代はずっとコンピューターサイエンス一筋でした。この分野に進んだきっかけは、ホームページ制作にハマったこと。インターネットの無限の可能性に驚き、これからはITの時代だと思ったんです。専門分野を追究したくて、修士課程にも進みました。

Webエンジニアを目指し、大学院修了後に新卒入社したのはニフティです。最初はシステムの保守運用や機能追加などを担当していたのですが、あるとき会社がSNSマーケティング企業を買収し、投稿管理ツールをつくることになりました。当時から「なんでもやります!」という活きの良さだけはあったので、当時社員10名程度だったその子会社に出向させていただき、3年ほどSaaSサービスの開発に携わることになったんです。

出向期間には突然ベトナムに行き半年ほど現地で仕事をするなど、大企業にいながらスタートアップのような経験をたくさんさせていただきました。自身の成長を実感でき、とても楽しい時期でした。

その後、出向先から本社に戻ることになったのですが、スタートアップのスピード感に慣れてしまって、大企業である親会社には戻りたくなかったんです。でも、子会社へも行けない。それなら自分でスタートアップに行こうと考え、早速転職サイトを見ていたところ「『ワンピース』のサンジのようなポジション求む」という募集が目に留まりました。それがイタンジとの出会いです。

- 未経験の不動産業界に飛び込んだのですね。

自分自身、仕事の関係で引越しが多かったのですが、そのたび部屋探しにうんざりしていました。とにかく手続きが多く、手間も時間もかかる。そんな負担を解消する仕事なら面白そうだと思ったんです。個人的には「なくても困らないこと」より「ないと生きていけないこと」、衣食住に関わることがしたかった。結局、転職活動ではイタンジしか見ずに即決しましたね。

会社存続の危機も経験。失敗を糧に育んだ開発力

- 最初、イタンジではどんなことをされていたのですか?

ジョインした当時のイタンジは、創業期でした。「HEYAZINE(ヘヤジン)」という、不動産管理会社が直接募集物件を掲載する賃貸物件情報のポータルサイトしか、まだサービスがない時期です。会社らしい組織構造があるわけでもなく、当然、業務に関する具体的な指示はもらえません。自分で業界課題やユーザーニーズを調べて考え、HEYAZINEにセルフ内見機能を実装しました。

HEYAZINEの着想は一定の評価を得たものの、不動産管理会社側の人手不足やエンドユーザーのUXに関する課題が解消しきれず、サービスのクローズに至りました。そこで次にイタンジがつくったのが、無店舗型の不動産仲介サービス「nomad(ノマド)」です。

- nomadではイタンジ自ら仲介会社となり、賃貸仲介サービスを提供していましたね。

HEYAZINEを通して、不動産業界の課題を外から変えていく難しさがわかり、自分たちが当事者となって業界構造を変えていく必要性を感じたんです。

nomadは仲介手数料が相場(家賃1か月分)より大幅に安く、来店なしで直接物件の見学へ向かうことができ、対面だと聞きづらいこともチャットで気軽に質問できる革新的なサービスでした。入居希望者からも高く評価され、累計15万人以上の方に利用いただき、多くのメディアで取材いただきました。

リピーターも多かったnomadですが、一つ大きな問題がありました。それは収益性の低さです。不動産管理会社からの広告料を主な収益源とする薄利多売のビジネスモデルで、月間200~300件の制約を達成する時期があってもなお、人的コストに見合う収益をあげるのが困難でした。

そんなnomadの運営に苦戦するうちに人が辞めていき、資金も尽きそうになり、本当にいつ会社が潰れてもおかしくない危機的状況に追い込まれました。この状況下で、何か確実に売上をあげることができるようなサービスはないかと全員で考えた結果生まれたのが、不動産管理会社向け業務支援システム「ITANDI BB+(イタンジ ビービープラス)」シリーズ(当時は「ぶっかくん」のみ)や、仲介会社向け自動追客&顧客管理CRM「nomad cloud(ノマドクラウド)」です。

- BtoCからBtoBへと、大きく舵を切りました。

BtoBの業務支援サービスが生まれたのは、nomadでイタンジ自ら不動産仲介をやっていたからこそです。空室確認を電話でしなければならなかったり、入居希望者とも電話やFAXでのやり取りが多かったり、誰もが不便と感じているはずなのに慣習的に続けられていることが不動産業界にはとても多い。nomadの運営を通して、私たちはその実態を目の当たりにしてきました。

そうやって当事者として感じていた課題を解決するサービスを開発すれば、需要があるのでは? そう思ったのが、BtoBサービスを開発した理由です。

これらBtoBサービスのビジネスモデルと、nomadを通じて蓄積された成約率向上ノウハウが組み合わさって、徐々に利益が生まれるようになりました。人もまた増え始め、イタンジは危機的状況から抜け出せたんです。

求めていたのは、全員が強い当事者意識を持つ組織

- その後メルカリへの転職を経て、イタンジのGAテクノロジーズグループ入りを機に、執行役員として再入社されました。この選択には、どのような背景があったのですか?

メルカリでは、プロジェクトマネージャーとして様々な経験を積みました。アメリカのヘルプセンターのリニューアルに携わったり、日本で「CSを10倍良くする」という使命のもと、体制やフローをいちから構築して効率化したり。

あるとき、役員直下のプロジェクトとして、新規サービス立ち上げのオペレーション体制やフローの構築に関わりました。このサービスはかなりの費用をかけてオープンしたものの採算が合わなくてすぐにクローズとなりました。その役員の方はシリアルアントレプレナーとして多くの事業を成功させてきた方だったので、それを目の当たりにしたとき「成功してる起業家でも、当たらないことがあるんだな」と実感しました。

このころからスタートアップやベンチャーの「全員に強い当事者意識がある組織」が恋しくなりました。そんなときかつての創業メンバーからタイミングよく声をかけてもらい、GAテクノロジーズとイタンジに戻ったんです。

- GAテクノロジーズとイタンジに戻られてからは、どんな仕事をされてきましたか。

最初はGAテクノロジーズとイタンジの業務が半々くらいで、エンジニア採用や育成にも携わりました。

その後、イタンジに集中することを決意。3つ目のBtoCサービスとなるセルフ内見型賃貸サイト「OHEYAGO」を立ち上げました。OHEYAGOはBtoBサービスのITANDI BBとつながっていて、入居申込みと空室情報がリアルタイムに連動します。そして、HEYAZINE時代の実装経験をもとに、近年のスマートフォン普及とスマートロックの機能向上を活かして、よりスムーズなセルフ内見を実現しました。

こうしてOHEYAGOでは、不動産管理会社の業務負担を増やすことなく、不動産管理会社とユーザーを直接つなぐことに成功しました。これまでの開発・運営経験が結実したサービスとも言えますね。

組織が大きくなっても、「自分の仕事の意義」を感じてほしい

- GAテクノロジーズグループの執行役員として目指したいことを教えてください。

テックサイドからの意見を、グループ全体に届ける役割を担えたらと思っています。私がこれまでメインで関わってきたイタンジは、GAテクノロジーズグループにおけるテックサイドの主担当とも言えるチームです。また現在、執行役員のうちエンジニアとしてのバックグラウンドがあるのは、遠藤さんと私だけ。学生時代からコンピュータ・サイエンスを専門とし、イタンジでサービスの開発・運用経験を積んできた者として、テクノロジー視点で経営に携わり、「不動産テック企業」としての成長に貢献したいですね。

また、イタンジはおかげさまでプラットフォーマーとしての立ち位置を獲得し、スモールビジネスの領域にもタッチできるようになっています。イタンジの事業が伸びるとさまざまなお客様との接点が増えるという側面があるので、それをグループ全体のシナジーへとしっかりつなげたい。そのためにも自分が窓口になり、各チーム間の情報共有を円滑にできればと考えています。

- 今後GAテクノロジーズグループ全体で目指したい組織像はありますか。

一人ひとりのメンバーが強い推進力を持ち、失敗を恐れずに挑戦していくイタンジの組織文化は、これからも継承していきたいです。その上で今後は、グループ内の各チームメンバーがより協調しやすく、働き続けたくなるような環境づくりに取り組んでいこうと思っています。

特に重要だと考えているのは、自らが取り組む仕事の意義をメンバー全員に実感してもらうことです。数年前と比べて社員数が大きく増加しているので、少人数のときよりも「会社の役に立っている感覚」「自分の手で事業を成長させている感覚」が薄れがちになるかもしれません。しかしどんな人も、組織にとって必要だからこそ、そこにいます。エンジニア、営業、CS……どのポジションにいても、会社にとって重要な存在なんです。

事業を進めていくことは、ものづくりにも似ています。自動車の製造を例に挙げるなら、「車をデザインする人」だけでなく、「タイヤを製造する人」「タイヤに使うネジを製造する人」など、さまざまな仕事をする人がいて初めて「自動車をつくる」という目的が達成されます。

ここで大事なのは、車をデザインする人だけでなく、小さなネジを製造する人も、「自分は車をつくっているのだ」と思えることでしょう。「自分たちは車をつくっているんだよ」「その車はこんなふうに社会に役立つんだよ」という全体図を見せてあげることが、私たち執行役員の大事な仕事だと思います。

ただ、組織の規模が拡大し、イタンジのメンバーが300人に近づいてきている中、経営陣だけでは「伝える」役割をこなしきれなくなってきました。各チームでマネージャーを育成し、会社としてのビジョンをより確実に浸透させたいですね。

会社としてのあり方やビジョンを明確に伝え、個別の仕事の意義を理解してもらうことは、人材採用においても重要です。既存の社員だけでなく、求職者とのコミュニケーションも含めて広い視野で改善を重ね、より良いチームづくりをサポートしていきたいと思っています。

ライター:瀬良万葉
撮影:今井淳史
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

EDITOR’S PROFILE
  • Corporate PR
  • GA MAG.編集長
浅野 翠
2011年に早稲田大学を卒業後、インターネットイニシアティブ(IIJ)やビズリーチで人事を務める。2018年にGAテクノロジーズに入社。2020年8月より広報を担当。好物はすっぱいお菓子。
Twitter:@midoriii1221
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2022/11/25
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