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2019年11月のCxO制度導入を機にスタートした新たな役員・CxO就任者へのインタビューシリーズ。当シリーズでは新任者の経歴や就任の背景、そして今後の目的・意気込みについてインタビュー形式でお届けします。
4回目となる今回インタビューするのは、新たにChief Development Officer(最高開発責任者、以下CDO)に就任した遠藤晃(えんどう あきら)です。
遠藤:エンジニアとして10年以上のキャリアを積み重ねてきましたが、ファーストキャリアからエンジニアだったわけではなく、大学卒業後はセミプロのドラマーとして活動していました。並行して学習塾の講師として働いていたのですが、大学が哲学科だったこともあり、しばらくはエンジニアリングに関わる機会もなく過ごしていました。
遠藤:当時勤めていた学習塾でE-Learningを自社開発するというプロジェクトが立ち上がったのですが、このプロジェクトがきっかけです。
配信するコンテンツは自社で制作し、システムの開発は外注する。という体制でプロジェクトを進めており、私はコンテンツのディレクションを担当していました。リリースに向けて様々なコンテンツを制作していたのですが、諸事情でプロジェクトが中止になることに。そんな中、同じフロアで働いていたシステム開発会社の人が「うちの会社で働かないか?」と声をかけてくださり、25歳からエンジニアとして働くことになりました。
遠藤:いえ、基本的に全て独学ですね。
E-Learningのプロジェクトが始まった際、エンジニアの方々の話を理解するために技術書を買って勉強していました。その後エンジニアとして働くことが決まってからは、毎日欠かさず勉強するように。「他の人よりもスタートが遅い」という危機感もあったのですが、純粋にエンジニアリングの楽しさや芸術的なコードの美しさに魅了され、次第にのめり込んでいきましたね。
遠藤:最初の転職先である大手証券システム開発会社では、金融や証券関連のシステムやアプリの開発を経験しました。その後、ベンチャー企業の最高技術責任者などを経て、前職であるガンホー(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社)に転職。最終的にはチームリーダーとして、ゲーム開発・運用保守をはじめとするサーバーサイド全般を担当していました。
遠藤:リファラルですね。大学の同級生で現在GAのCommunication Design Center(※1)の本部長を務める川村から「同じ会社で働きたいから来てくれ」と誘われ、GAに転職することを決めました。
GAに入社後、最初の1ヶ月間はグループ会社であるイタンジのぶっかくんというプロダクトを担当。その後GA Boot Camp(※2)という若手エンジニア育成プロジェクトの責任者となり、2018年11月の立ち上げから現在に至るまで多くの新卒社員・内定者の育成を担当してきました。
(※1) 広報やクリエイティブ制作、社内外イベントの企画・運営といった社内外におけるコミュニケーションを統括する部署
(※2) GA Boot Campについては下記の記事をご覧ください。
遠藤:開発・技術全体の責任者というと一般的にはCTOと呼ばれるイメージが強いと思います。そこをあえてDevelopmentと言っているのは、テクノロジー的な解決にフォーカスするというよりは、GAの開発組織が抱えている課題にフォーカスするから。
そこの住み分けが私がCTOではなくCDOである大きな理由の一つであり、CPO(※3)やCAIO(※4)との違いですね。
(※3) Chief Product Officer(最高プロダクト責任者)の略称。プロダクトの方針決定、その開発および運用に責任を持つ。
(※4) Chief AI Officer(最高AI責任者) の略称。AIやデータサイエンスの活用により、新たなビジネス・サービスを生み出す研究開発に責任を持つ。
遠藤:主に2つの目線があります。
一つ目は、マネジメント層の不足です。「技術的な底上げができる」という意味のマネジメントと「工数等の面でメンバーを管理できる」という意味のマネジメントがあり、その両方を担える人財が今の開発組織には不足しています。
私はこれまでBoot Campで新卒の育成を担当していましたが、そこでやっていることは本来中途の方々にも当てはまるべきこと。だからこそ、今後は新卒だけではなく中途育成にも取り組んでいきます。
2つ目は若手エンジニアの成長です。Boot Campを卒業したエンジニアをより成長させていくには、配属された現場においても適切なマネジメントやフィードバックを行っていく必要があります。
ただ、肝心のマネジメント層が不足していると適切なマネジメントができず、若手エンジニアの成長を鈍化させてしまう。そういった問題が起きないよう現状を改善していきたいとも考えています。
遠藤:そうですね。Tryoutはエンジニア職を希望する学生に体験してもらうBoot Campで、21卒採用から選考フローに組み込まれています。体験期間は約一ヶ月としており、実際にBoot Campのカリキュラムを行ってもらいます。
エンジニアの能力を測る方法は2つあって、一つはコードを見せてもらう、二つ目は過去の実績で判断するというやり方です。ただ、新卒に過去の実績を求めるのは現実的ではないので、どんなコードを『書くか』を見ることが能力・適正を判断するには有効だと考えています。また、GAの新卒は会社の文化を継承する重要なメンバーと考えられていることから、選考の段階ではカルチャーフィットできるかどうかも重視されています。1時間の面接ではその人の能力や人となりはわかりません。これは今までずっと思ってきたことでもあり、採用コストをかけてでも能力とカルチャーフィットの2点はしっかりと見極めるべきだと考えています。
遠藤:その通りです。
仰る通り一人で組織全体を細部まで見ることは不可能ですし、組織の成長にマネジメント層は必要不可欠です。
極論ですが、結局のところ仕事は「誰が担当しているのか」によって決まると思っています。「この人が担当しているなら大丈夫」という人材を育成し、その人に責任を移譲していくこと。
それが結果的に組織全体の強化に繋がると考えています。
遠藤:私がGAに転職してきて感じたのは、「現在のアナログな不動産業界において、技術で推進できることは山ほどある」ということ。その山ほどあることを一つ一つ形にしていきたいと思っています。
それを実現するためにも、私がやるべきことは「GA GROUP SPIRITS(以下、GAGS)(※5)を体現している人で開発組織を固めること」。これに尽きると思っています。
GAGSを体現する人はどんな人か、というとシンプルにいい人なんですよ。挨拶する人、掃除する人、他部署の人ともしっかりとコミュニケーションを取る人。そういった「人としてちゃんとしている人」が結局いいエンジニアなんです。
「エンジニアだからコミュニケーション能力が低い」というイメージがある人もいるかもしれませんが、少なくとも私がこの目で見てきた優秀な方々はコミュニケーション能力も高く、人柄も良い人ばかりでした。
だからこそ、GAGSを体現しているエンジニア = 優秀なエンジニアと捉え、そういった人財で強固な開発組織を作っていきたいと考えています。そのためにBoot CampやTryoutは任せることができる人が現れるまではやり続けますし、今後は中途も含めて開発組織全体の強化に力を尽くしていきます。
(※5) GAGS : GAテクノロジーズグループが大事にしている価値観とバリューを融合し、明文化したもの。詳しくは下記の記事をご覧ください