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民法改正で不動産ビジネスはどう変わる?-後編-

教えてクリス先生!〜賃貸借契約編〜
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X-Tech PROFESSIONAL 教えて!クリス先生

Apr

3

Fri

WORDS BY近藤 英恵古澤賢太郎クリストフ
POSTED2020/04/03
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はじめにINTRO
DUCTION

こんにちは、GA MAG.編集長の近藤です。
GAテクノロジーズ(以下、GA)は、「テクノロジー × イノベーションで、人々に感動を。」を 理念に掲げ、不動産ビジネスの変革を中心にX-Tech領域のビジネスに取り組んでいます。

そんなGAの事業ドメインにあたる、未だアナログだと言われている業界は、規制産業であることが多いです。そのため、テクノロジー活用においても、関係する許認可免許や業法を深く理解する必要があります。このような背景から、GAグループでは社内弁護士とリーガルチームによる定期的なコンプライアンス研修が全社員に向けて開催されています。

今回のGA MAG.では、4月の民法改正に向けて行われた自社セミナーの内容を踏まえ社内弁護士 古澤賢太郎クリストフによる解説の後編をお届けいたします。不動産事業者のみなさまをはじめとし、一般読者のみなさまにも広くこの度の民法改正を知っていただければと思います。



編集/執筆:古澤賢太郎クリストフ
企画:近藤英恵(@Konchanmax10)

PROFILE
  • 社内弁護士
古澤賢太郎クリストフ
2007年3月  筑波大学附属高等学校卒業
2011年3月  慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2011年9月  ポールヘイスティングス法律事務所(リサーチャー)
2013年3月  慶應義塾大学大学院法務研究科修了
2013年8月  金川国際法律事務所(パラリーガル)
2016年9月  司法試験合格
2017年12月 最高裁判所司法研修所終了、第一東京弁護士会に弁護士登録
2018年1月  都内法律事務所にて執務
2018年11月 株式会社GA technologiesに社内弁護士として入社

CHAPTER「賃貸借契約」に関わる民法改正

賃貸借契約とは、一方がある物を使用収益(使用すること、使用して利益を得ること)するため、その相手方である物の所有者に対して、その賃料を支払う契約のことです。アパートを借りる場面をイメージして頂ければOKです。

賃貸借契約の仲間として、使用貸借と消費貸借があります。使用貸借は借りた物をそのまま返し、かつ無償の契約です。友達の自転車を借りる場面をイメージしてください。消費貸借は、借りたものを使い、返すときは同じ価値のものを用意して返す契約です。銀行からローンを借り入れるのも同じです。友達から千円札10枚で1万円を借りる場面をイメージしてください。この時、借りる際にお札の番号を記録しておいて、返すときに同じ番号を集めて返す人はいないですよね?というかこれは無理ですよね(※)。このように、一旦使っちゃってから同じ価値のもので返す契約を消費貸借契約といいます(※)。別の仲間として準消費貸借契約というのがありますが、あまり深入りすると編集長から「長い!」と嫌われてしまいそうなので、ここで止めておきます。

(※)ちなみに、平成16年から令和2年にかけて日本銀行が発注した千円札の合計枚数は282.3億枚でした。この中から、一度手放した千円札10枚を見つけ出すのは至難の業だと思います。

(※)なお、消費貸借には利息が伴うと誤解をしている人が多いですが、元来消費貸借契約は無償のものです。ただ、利息なしでお金を貸すなんて、そんな善人はなかなかいないわけで、通常は利息を付けます。また、裁判上も、「貸金を返せ!」という請求と「利息を払え!」という請求は別個のものとされています。

不動産では、一方(賃貸人)が物件を相手方(賃借人)に使用・収益させ、借主がその賃料を支払う約束する契約です
せっかくなので、賃貸借の基本事項を定める条文が民法改正でどのように変わったのか見てみましょう。

【旧民法】
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
【新民法】
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

パッと見何が変わったのか、分かりませんよね。でも、よく見てみると、「及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還すること」という文言が追加されています。

何やら深い事情がありそうですが、実はそんなことはなく、「貸し借りなんだから、当然返すことも約束するよね」ということで明記しただけです。

さて、今回も長い前置きになりましたが、実際にルールがどのように変わったのか、見ていきたいと思います。賃貸借分野における改正は、過去の判例の蓄積をふんだんに盛り込んだものとなっています。今回も、「なぜ変わったのか」という「趣旨」に着目していきますが、難しいことはないので、肩の力を抜ききってお楽しみください。


① 保証契約(賃借人の連帯保証人)

賃貸借契約を締結する場合、一般的には保証人をつけます。これは、賃借人に万が一のことがあった場合に、保証人に責任を取ってもらい、賃貸人を保護するためです(※)。親族や知人が保証人になる場合もありますが、「~賃貸保証」といった会社が保証料をもらって保証人になることもあります。

(※)会社に就職する際に、「身元保証人」を書く欄がありますよね。実はあれ、きちんと法律に基づいています。その名も「身元保証ニ関スル法律」!タイプミスじゃないですよ、カタカナです。昭和8年に公布された法律ですので、御年88歳、米寿ですね。第1条は「引受、保証其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行為ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償スルコトヲ約スル身元保証契約ハ其ノ成立ノ日ヨリ三年間其ノ効力ヲ有ス但シ商工業見習者ノ身元保証契約ニ付テハ之ヲ五年トス」と定めています。気持ちの悪い話ですが、法律を学んでいると、これが一度ですらすらと読めるようになります。

債権者と保証人との間で締結する契約を保証契約といいますが、保証契約は、保証契約の元となる契約と同じタイミングで締結されることが圧倒的に多いため、その後の事情によっては、保証人に重い責任を負わせることになりかねません。そこで、「根保証」という制度があります。根保証は、債権者と債務者との間で将来に亘って行われる取引から生ずる不特定多数の債務を保証人が保証するというものです。要は「まるっと保証する」ってことです。不動産の連帯保証人はその典型例で、毎月の賃料や損害賠償金(※)を、まるっと保証しないといけなくなります。

(※)損害賠償金というと、何のことかと思いますが、例えば、賃借人が借りている物件で自殺したような場合には、賃貸人は部屋のクリーニングやその後の賃料の減額といった形で、大きな損害を被ります。保証人は、場合によってはこのような損害まで補填しなければならないとして、問題視されていました。

こういった、まるっと保証する根保証契約について、旧民法が完全に放置をしていたわけではありません。元の契約が貸金契約である場合、保証人が個人であるときには極度額(=上限)を定め、かつ、保証契約は書面又は電磁的記録(※)でしないといけないとされていました。

(※)電磁的記録については「電子署名及び認証業務に関する法律」をご参照ください(絶対しないですよね)

でも、保証人の負担が過度に重くなるのって、元の契約が貸金契約であっても賃貸借契約であっても、変わらないですよね?むしろ、物件の価値は賃料よりも遥かに大きいですから、最悪のシナリオを想定すると、賃貸借契約の保証人の方がリスクが高いようにも思えます。

そこで、新民法では、元の契約や債務の種類を問わず、個人がまるっと保証する根保証については、極度額を定め、書面又は電磁的記録で行うことが規定されました。保証人保護に大きく傾いたわけです。

QUESTION.この改正では賃貸人・賃借人はどんなことを気をつけるべきなの?

気になりますよね。特に、賃貸借契約の場合、将来何が起こるか分からないので(賃借人が2カ月分の賃料を延滞しただけの場合もあれば、物件内で自殺してしまった場合もあり、様々です。)、極度額を定める作業がなかなか手強そうですよね(※)。

(※)蛇足ですが、筆者の済んでいるアパートでは、ペットを飼うと敷金1か月上乗せ、ここまではいいんですけど、なぜか1頭あたり1000円の「飼育料」を取られます。トラ猫と三毛猫を飼っているので2000円です。実際に飼育しているのは私なので、こっちが貰うのが本筋なんじゃないかと思うんですが、、、永遠の謎です。

極度額は、具体的な金額を書かないといけません。単に「賃料の4カ月分」というだけでは金額がはじき出せないので、NG(=無効。請求できません。)になります。「賃料の4ヶ月分」だけではなく、実際の賃料も書いてある場合には、具体的な金額を算出できますので、OKとなります。

賃借人としては、今まで以上に、保証人に対し丁寧な説明をし、後になって紛争とならないような手続を踏むことが求められます。

なお、「実際のところ、極度額ってどれくらいで定めたらいいの?」という点については気になるところですよね。これは決めの問題なので、一概には言えませんが、例えば「賃料100年分」としてしまうと、「公序良俗」という別のハードルに引っかかり無効となってしまうと思います。

国土交通省の調査では、裁判になった事案で、連帯保証人が負担を命じられた額としては、平均が13.2ヶ月分、中央値が12ヶ月分、最大は33ヶ月分でした。筆者の肌感覚としては、24ヶ月分であれば適正な範囲内であると思っています。
因みに、新民法では、賃貸借の最長期間も変わりました。借地借家法の適用がない物件では、従前20年が上限だったのですが、これが50年に変わりました。イギリスでは、999年の賃貸借もあります。


② 賃貸人の修繕義務・賃借人の修繕権

賃貸人の修繕義務は、旧民法でも規定されています。日本社会を120年も守ってくれた旧民法の名誉のため、まずこれだけはお伝えしておきたいのです。さて、ここからは、「賃貸人」と「賃借人」と、一文字違いの登場人物が出てくるので、便宜上、不動産の賃貸借との前提で、「大家」と「入居者」と記載します。

そもそも、大家は、物件を入居者に使用させる義務があります(これが賃貸借の本質ですよね。)。ゆえに、物件に修理が必要な場合には、ちゃんと使えるように修理する義務があります。そして、もしも入居者が大家の代わりに修理した場合、かかった費用を大家に請求することができるとされていました(※)。具体的には、例えば借りている物件で雨漏りがして、大工さんを呼んで5万円で修理した場合、大家さんに5万円を返してもらうことができます。

(※)専門用語では「必要費償還請求」といいます。

しかし、旧民法では、「賃借人が・・・必要費を支出した場合には」としか書いてなく、そもそも実際どういう場合に修理をしていいかどうかが書いてありませんでした。これだと、入居者も「え、これ勝手に修理していいの?」となるし、大家も「知らない間に修理しやがって!」となります。もじもじしている間に雨漏りが大きくなってカビが生え、シロアリが押し寄せてきたら、たまったもんじゃありません。シロアリだけは勘弁です!!

そこで、新民法では、入居者が修理をしてもOK!と胸を張れるように、手続を規定したのです。実に親切な改正ですよね。新民法では、修理が必要となって、①大家に連絡し、大家が認識したけど修理してくれない場合か、②急迫の事情がある場合(※)、には、入居者自身が修理をしてもいい、ということになりました。入居者が修理した際に係った費用は、当然大家持ちです。

(※)「急迫の事情」とは、簡単に言えば、議論している時間がない、ということです。雨漏りの中でも、家の廊下にぽつぽつと雨漏っているのと、リビングが水浸しになるほど雨漏っているのとでは、違いますよね。後者は「急迫の事情」がある場合に該当します。

なお、上述したように、修繕の義務は基本的に大家が負いますが、この規定は任意規定といって、当事者間で修正可能ですので、一定の限度で入居者に費用を負担させる特約も可能だと思われます。ただし、あまりにも大家に有利で入居者に不利なものは、消費者契約法に違反する場合がありますので、注意が必要です。
また、入居者が故意や過失で物件を壊したのに、大家が費用を負担するのはおかしいので、「賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったときは、この限りではない。」という文言が追加され、入居者の故意や過失による場合には、大家は費用を負担しなくて済むことになっています。

QUESTION.賃貸人の代わりに不動産の管理業務を行なっている会社はどういうところに気をつけるの?

管理会社は、大家に代わり賃貸借契約の管理をしていますが、あくまで大家は大家ですので、今までと大きく変わるところはありません。強いて言えば、管理会社は入居者が一番先に連絡をする窓口なので、修繕箇所に関する徹底的なヒアリングを行い、大家が費用を負担すべきであると判断した場合、迅速に大家に連絡を取って処理する必要があります。これを怠り、入居者において本来より高い費用で修理をしてしまった場合、最終的に大家がこれを負担する必要があり、管理会社は大家に対する善管注意義務(「もっと早く処理していればもっと安く修理できた!」)を果たしていないとして差額を負担させられる恐れがあります。


③ 原状回復義務

原状回復とは通常、入居者が退去する際に、借りた部屋を借りた当時の状態に戻してから返還するというものです。借りたら綺麗に返す、当たり前ですよね(※)。

(※)小学校では、「借りた時よりも綺麗にして返す」という精神論を叩き込まれますが、当然ながら、法律上は借りたときの状態に戻せばはなまるがもらえます。

旧民法は、賃貸借終了後の明渡し時における、賃借人が負担する原状回復義務やその他具体的な内容は定められておりませんでした。いや、これだけだと充分な説明とは言えません。旧民法では、賃貸借独自では原状回復について定めていませんでしたが、使用貸借契約の条文を準用(※)していました。そして、使用貸借の終了について定めた旧598条では、「借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。」と規定していました。

(※)あっちのルールをこっちにも適用しよう!ということです。

気付きましたか?「~~できる」、つまり、借主の義務ではなく、権利として定めていたのです。故に、確かに賃貸借契約においては、入居者の「義務としての」原状回復義務は定められていませんでした。

また、大家と入居者との間で、敷金の返還についてのトラブルが絶えませんでした。というのも、大家としては、預かった敷金を最大限キープしたいじゃないですか?入居者は「絶対に回収してやる!」と思っているわけです(※)。

(※)筆者の猫2匹による「壁ガリガリ行為」により、その実現は不能になりました。

こういう時に、大家としてはどうするかというと、退去時に、「あれも」「これも」といって、いろいろと費用を積み上げてくるんですね。これがいけなかった。何事もやりすぎはダメですよ。がっつくとしっぺ返しを食らいます。「あれも」「これも」の中に、どう考えても入居者の責任ではないものが含まれちゃったんですね。いわゆる「経年劣化による損耗」です。誰が借りていようと、その物件に自然に発生する劣化ですね。これを入居者に負担させるのはさすがにまずいでしょ、ということで、怒れる入居者が争ったわけです。はい、実に3年以上のの年月を要しました。長すぎる戦いです。平成17年12月16日、最高裁は、通常の損耗や経年劣化は、原状回復義務の範囲には含まれません!と宣言してくれました。

新民法においては、この最高裁判例及びこれに続く先例を条文に格上げし、生活していて通常に使用することによって生じる「通常損耗・経年劣化」は、借主の原状回復義務の対象外であることを明文化しました。
なお、実際上の取り扱いについては、国土交通省が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」及び東京都都市整備局が出している「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」に考え方が示されています。

QUESTION.大家さん(賃貸人)は、これまで請求していた『通常損耗・経年変化』の費用を請求できなくなるから損をするの?

損をする、というより、そもそも大家がゲットするべきお金じゃなかったというだけだと思います。大家は、自分の資産を入居者に貸し出すことによって利益を出しています。ただ、その資産も、時の経過とともに価値は下がっていきますし、壊れてくるところもでてきます。そのような場面で、下がった価値分も入居者に負担させるのが「正しい」「公平な」ことなのか、考える必要があります。これを認めたら、入居者の負担は際限なく広がっていきますよ。自然と生じてくる劣化については、本来の所有者である大家さんがリスクを負うべきであると筆者は考えますし、最高裁も同じように考えたのだと思います。
筆者からすれば、最高裁の判断は「大家さん、あなたそれは自分で負担しなさいよ。」といっているように聞こえてなりません。


④ 賃料減額(賃借不動産の一部滅失等による賃料減額)

例えば、泳ぐのが大好きな富豪が、プール付きの家を借りたとしましょう。巨大なプールです。ある日、このプールに隕石が落ちてきて、プールを破壊しました。幸い母屋は無事なのですが、これでは富豪は大好きな水泳を楽しむことができません。プールを直すことは可能ですが、しばらくの間、専門家が調査に来るため、プールは使えません。富豪は、大家に対して、「せっかくプールが魅力的で借りたのに使えない!その分賃料を下げてくれ!」と言いたくなります。このような場合に、民法は賃料の減額を認めています。これは、旧民法でも新民法でも変わりません。

では、民法改正で何が変わったのか。これで「何も変わらない」ということだと、どうもこの解説の終わりとして座りが良くありません。

では、条文の比較を比較してみましょう。

【旧民法】
賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
【新民法】
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される

大きく変わった点を下線にしてあります。
まず、旧民法では「滅失」に限定していたのを「滅失その他の~~」と大幅に拡大しました。
また、旧民法では「減額を請求することができる」としていたのを、「減額される」と変えました。

これにより、「滅失ではないけど使えなくなった」場合にも、賃料の減額が認められるようになりました。
また、賃借人の方から賃料の減額を請求しなくても、当然に賃料が下がることになりました。

QUESTION.大家さん(賃貸人)は、自分の知らない間に賃料が減額する可能性があるということ?

そのとおりです。大家が修繕の必要を知らないまま、結構な期間が経過し、そのあとに大幅な減額(つまり返金)を余儀なくされる可能性があります。ただ、実はこれは旧民法でも変わりはありません。旧民法でも、滅失のタイミングと請求のタイミングにはタイムラグがあることから、滅失のタイミングから減額が始まっていたとして、過去にさかのぼる事例もありました。
こういったことが起きないよう、賃貸借契約には、責任の主体とその範囲についてある程度明確に特約として規定するのが有益だと思われます。


さて、2回にわたり、改正民法について見てきました。まだまだ、ほんの一握りですが、売買と賃貸借については、ざっくりとしたイメージは持っていただけたのではないでしょうか。

実は、最後に皆さんに宿題があります。法律の世界は、頭の中をこねこねさせる知的作業が魅力です。そこで、2つ、頭をこねこねする問題を出します。答えはありません。裁判例の蓄積もありません。そこも法学の魅力ですね。ぜひ、法律家になったつもりで考えてみてください。

では、またお会いできる日まで!


【問題】
1、賃料の減額要件となっている「その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合」には、どのような場合が含まれるでしょうか。

2、冒頭の富豪の事案で、この物件が4LDKの母屋、2LDKのゲストハウス、テニスコート2面、プールから成り立っており、賃料は月額500万円だとします。富豪は水泳の元オリンピック選手です。あなたが裁判官だった場合、プールが壊れたこの物件の賃料はいくらが適正だと思いますか。

【本稿に記載されている内容は、執筆者個人の見解を記したものであり、執筆者の所属する主体の見解と必ずしも一致しない場合があることにご留意ください。】

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

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EDITOR’S PROFILE
近藤 英恵
2018年新卒でGAテクノロジーズに入社。Communication Design Centerに所属し、コピーライター 兼 広報として日々奮闘中。POPな文章でGAの日常を発信していきます😎ツイッター気軽にフォローしてください✨
特技:早起き/趣味:鶏胸肉の調理・深夜ラジオ
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  • President’s Office
  • 社内弁護士
古澤賢太郎クリストフ
2007年3月  筑波大学附属高等学校卒業
2011年3月  慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2011年9月  ポールヘイスティングス法律事務所(リサーチャー)
2013年3月  慶應義塾大学大学院法務研究科修了
2013年8月  金川国際法律事務所(パラリーガル)
2016年9月  司法試験合格
2017年12月 最高裁判所司法研修所終了、第一東京弁護士会に弁護士登録
2018年1月  都内法律事務所にて執務
2018年11月 株式会社GA technologiesに社内弁護士として入社
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2020/04/03
民法改正で不動産ビジネスはどう変わる?-後編-