GAテクノロジーズが運営する不動産テック総合サービス「RENOSY(リノシー)」では、「借りる・買う・売る・貸す・投資する」という住まいにまつわるすべてをワンストップで提供することで、お客様の理想の暮らしの実現をお手伝いしています。
そんなRENOSYの一翼を担う「リノベーション」領域において、お客様の理想の住まいを実現すべく日々奔走している一級建築士やインテリアデザイナーにインタビューする企画『GAの匠たち』。
第3回となる今回は、Living事業でインテリアデザイナーとして活躍する、中森 康裕(なかもり やすひろ)をご紹介します。オフィスや大学など、さまざまな「暮らし」の場をデザインしてきた中森のキャリアや、これからのオフィスに対する想いに迫ります。
建築に興味があり、大学では建築学科に進学。学びを深めるうちに、「建築は社会的インパクトが大きいはずなのに、専門的な視点で発信・評価されることが多く一般的な感覚と乖離しているのではないか」と感じるようになりました。そこで大学院では、より多くの人に直感的に評価される分野であるインテリアデザインの会社でインターンを経験しました。建築学科でインテリアデザインを選ぶ人は少数派だったので、周囲には驚かれましたね。
中高生の時に「裏原系」というファッションが流行っていて、ファッションと共に今まで見たこともないようなエッジの効いた店舗が沢山できました。そういう空間が増えると、多くの人がそのエリアに対し共通のイメージを持ち独自のカルチャーが芽生えていく。そのことがずっと面白いと思っていました。インテリアデザインは多くの人が直感的に好き嫌いを語れる開かれた分野で、文化や時代を作れるんじゃないかと思ったんですよね。
インターンでは飲食店や店舗などの商業空間をメインに手掛けていました。店ごとにさまざまなコンセプトを表現できて面白かったのですが、商業空間はライフサイクルが短く、「もっと建物としての寿命の長い、オフィスを手掛けたい」と思うように。当時はちょうど世界的なIT企業が、事業や規模だけでなくオフィスのあり方でも注目されていた時期。旧来のオフィスとは一線を画す、「カルチャーをつくる装置」としてのオフィスを作りたいと考え、新卒ではオフィスや教育分野に強みを持つ会社に就職しました。
教育関係の案件が多かったこともあり、最初に関わったのは大学の設計でした。当時は大学教育も転換期で、昔ながらの講義型ではなくグループワークをメインにした双方型の手法を模索していた時期。あわせて教室などの空間も変革が必要だと言われていましたが、国内には先行事例がなかったため、海外の事例をリサーチしながら自分たちもワークショップや授業をやってみて、設計する側と使う側の両方を行き来しながらデザインしてきました。ただ「箱」を作るのではなく、講義の内容や大学の方針に応じて型にはまらずに作っていける面白さがありましたね。複数の大学の設計に、6年ほど関わりました。
その後、大手企業を中心にオフィス設計にも関わることに。
オフィスも大学と同じで、その会社の事業や社員の年齢、どんな職種がいるかによって、提案するものは変わります。設計というと「単なる箱を作っている」と思われがちなのですが、それだけではダメ。「目指すべき姿はどんなものか、どうやってそれを実現するか」といった、形のないものまで踏み込んで提案してはじめて、本当の意味でいい空間が実現します。
一方で、オフィスが環境や働き方の変化についていけず古くなっていくのも疑問に思っていました。「完成して終わり」ではなく、従業員の増加や会社の業績など、「会社の変化に応じて変わっていくオフィス」を実現できないかと考え始めました。
じつは、GAテクノロジーズを別の大手デザイン会社と見間違えて応募したのがきっかけです(笑)。
でも、会社について調べるうちに「業界を変える」という気概を感じ、興味を持ちました。
面接では「これからの働き方と働く場」について、面接官とお互いの意見を正直にぶつけられましたね。サービス開発も、アジャイルでトライ&エラーを繰りかえす時代。オフィスも「作ったら終わり」ではなく、常に変わっていく、アップデートしていく時代だと伝えたところ、共感してもらえたのは嬉しかったです。
また、当時はGAテクノロジーズでオフィス事業を立ち上げるタイミングだったこともあり、すぐに入社を決めました。
GAテクノロジーズは2019年2月に恵比寿から六本木に本社移転しましたが、積極的な採用やM&Aで、すぐに座席がいっぱいに…。そこで持ち上がったのが増床の話でした。
「全社朝会ができる、広い会議室がほしい」
「撮影やイベント配信をスムーズに実施できる、グリーンバックのあるスタジオが必要」
など、あらかじめ要件がはっきりしていましたね。
データドリブンでオフィスをアップデートしていくオフィス設計サービス「RENOSY WORK」のリリースですね。2021年2月に開催したイベントでは、外部の方を交えてオフィスのあり方を議論できました。
2020年から新型コロナの影響で、オフィスのあり方については議論が続いています。動きの速いベンチャー企業を皮切りに、大手企業の本社移転などもニュースで取り上げられました。
当初はリモート勤務のメリットばかりが取り上げられ、「オフィス不要論」もありました。しかし、徐々にリモート勤務のデメリットも見えるようになり、最近は「オフィス回帰」の傾向も強まっているように感じます。これからは、なにかひとつの正解ではなく「自分たちにとってオフィスとは何か」という本質的な問いにそれぞれの企業が向き合っていくのではないでしょうか。その結果、オフィス不要の企業もあれば、「やはりオフィスは必要」という会社も出てくる。これからのオフィスは、事業や働き方などそれぞれの会社の特徴を強く反映したものになっていくと思います。
世の中の価値観や、求められるものがガラッと変わったので、これまでのオフィス設計ノウハウだけでは太刀打ちできない問題も出てくると思います。オフィス設計という点では、各社が横並びで「よーい、どん」という状態。非常に面白いフェーズだと思います。
さらに言えば、オフィスという空間設計だけでなく、人事制度やコミュニケーション施策まで提案する領域は広がると考えています。エリアごとの利用率を可視化したり、出社率と生産性の関連を分析するなど、テクノロジーを活用することでさまざまな可能性を模索していけるので、ワクワクしています。
GAテクノロジーズはまだまだベンチャー。前例にとらわれず、これからも新しい方法をどんどん生み出していきたいですね。
※撮影:天沼彩
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