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GAテクノロジーズは2021年4月15日、「株式会社パートナーズの株式取得及び簡易株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」を発表。
資産運用総合アドバイザリー事業を手掛け、「High-Growth Companies Asia-Pacific 2021(アジア太平洋地域の急成長企業ランキング2021)」のトップ500企業のうち79位にランキングされるなど高い成長率を誇るパートナーズと、住まいにまつわるすべてのサービスをワンストップかつ一気通貫で提供するGAテクノロジーズ。同じ目標に向かい手を携えることで、どんな未来が見えてくるのでしょうか。
今回のGA MAG.では、Chief Communication Officerの川村がモデレーターとなり、パートナーズ代表・吉村氏とGAテクノロジーズ代表・樋口の対談を実施。M&Aまでの経緯や、2人が描く展望について語ります。
モデレーター:川村 佳央(Chief Communication Officer)
編集・執筆:浅野 翠(GA MAG.編集長)
撮影:丹野 雄二(株式会社GA technologies)
吉村:
学生の頃から、漠然と「社長になりたい」と考えていました。高校生からガソリンスタンドや教材販売など様々なアルバイトをしていたのですが、生意気ながら「俺の方ができる。もっとこうすればいいのに」と思うことが多かった。社会不適合者ですよね(笑)。
誰かに従うのが苦手だったので、それなら組織のトップになるしかないなと思ったんです。
とはいえ、学生からいきなり社長になるのは難しい。そこで「営業力があればなんでもできる」と考え、難易度の高い高額商材を扱う不動産業界を選びました。
基本的に、発想は常にシンプルです。
30歳までに社長になろうと決めていましたが、目の前の仕事に打ち込むうちに役職も給与も上がっていき、待遇も良く、現状にある種満足してしまう日々が続きました。
転機となったのは、2011年に東日本大震災のボランティアとして被災地を訪れたとき。立入禁止区域に指定されたエリアで、ヘドロまみれになってしまった家にひとり住み続けているおじいさんとお話する機会があったんです。昼食を一緒にとりながら、なぜここに住み続けているのか、仮説住宅に移った方がいいのではないかと聞いてみたんです。すると、その方は「震災が起きたとき、私はこの家にいなかった。奥さんと息子夫婦、孫がこの家にいて、全員流されて死んでしまった。だから自分はもう、ここで死ぬ」とおっしゃったんです。
胸にズシンときました。生きるためというより、死ぬためにその家に住み続けているという事実に、やるせなさというか、表現しがたい感情がこみ上げました。
その帰り道、車を運転しながら「なぜ自分は社長になりたかったんだろう。そしてなぜ今、社長をしていないんだろう」と考えました。営業パーソンとしての自信はついているのに、やりたいことをできてない、生きているクセに行動に移せていない自分に苛立ちを感じました。
当時は震災の混乱で、東京に戻るのに7〜8時間かかったのですが、その間ずっと考え抜いた。そして東京に着く頃には「自分が培ってきた不動産の知識やノウハウで、困っている人の役に立ちたい」という決意が固まったんです。
翌日、勤めていた会社に辞表を提出し、その後パートナーズを立ち上げました。
パートナーズは創業時から「お客様の、いい生き方のために。」という理念を掲げていますが、これは震災ボランティアの経験から生まれたものです。お客様の一度きりの人生を最高のものにしたい、という創業時の意志を込めました。
吉村:
4月15日、GAテクノロジーズグループになると公表した日、パートナーズでは入社式と表彰式を開催していました。樋口さんも完全サプライズで来ていただき、直接社員に説明してくれましたね。
私も社員の前に立ち、パートナーズのこれまでとこれからについて語りました。GAテクノロジーズグループとなり、この先が楽しみだという気持ちの一方、この10年が走馬灯のように思い出され、思わず泣いてしまいました。
私はパートナーズを創業したとき、必ず増収増益を続けると決めていたんです。自分に課した目標ですね。おかげさまで無事10期連続の増収増益を達成しましたが、「勝つことはできても、勝ち続ける負荷は相当あった」というのが本音です。
私の経営哲学である「企業は人なり。人財がすべて。社員は宝」だと考え、この10年間、理念を大切に経営してきました。それでも、思いがけない出来事もありましたし、去っていく人もいた。そういうすべてがこみ上げ、思わず涙してしまった。
逆に言えば、それほど濃密な10年を過ごせたのは幸せでしたし、ついてきてくれた社員にも言葉では表現できないくらい本当に感謝しています。
だからこそ、GAテクノロジーズグループになることで、これからもっとワクワクする未来を歩めると思っています。
樋口:
3年半ほど前にお会いしたのが初めてですね。最初は、純粋なGAテクノロジーズの取引先としてご挨拶させていただきました。
樋口:
当時、私は取引先など20社ほどの社長とお会いしていました。その中で、吉村さんは唯一と言っていいほど、放つオーラや人間性が違ったんです。「この人はすごい」という、直感に近い強烈な印象を受けました。
M&Aを考える決定打になったのは、オフィスに伺った際、エントランスに理念が掲げてあったこと。それを見た瞬間に「理念経営という点でGAテクノロジーズと同じ。一緒になれるかもしれない」と思いましたね。お金より大切にしているビジョンや理念がある、というのは非常に大きかった。
社内のメンバーに話を聞いたところ、「パートナーズは本当に仕事がやりやすい。人としても素晴らしい方が多い」という話が多数上がりました。そこでさらに確信を強め、吉村さんを食事にお誘いしては、冗談混じりで「一緒にやりませんか」とお伝えしてきました。
吉村:
はい、今もそうですね。理念の浸透については終わりがないと思っています。
GAテクノロジーズが掲げるGA GROUP SPIRITS(GAGS)は、パートナーズでは「粋に生きる愛と本気の11ヶ条」というスピリットにあたります。
私は、「理念=会社の命」だと考えています。もし自分が死んでも、理念という命が社員ひとりひとりに宿っていれば、パートナーズは生き残る。理念というのは、トップが作って思いを込めていくものです。それが社員に伝わって初めて、同じ目標に向かって前を向いて進んでいける。だからこそ今後も、理念を伝承し、継承し続けていきます。
樋口:
GAテクノロジーズグループではここ数年、AIなどのテクノロジー活用や、業務の仕組み化に取り組んでいます。それはもちろん重要ですし今後も続けていきますが、同時に社員の成長も非常に重視しています。RENOSYエージェントひとりひとりのお客様の向き合い方を、もっとブラッシュアップしなければいけないと考えています。
いくらテクノロジーや仕組みが優れていても、それを作るのも使うのも、結局は人。パートナーズさんの社員教育の取り組みを知り、改めて素晴らしいと思いましたね。
樋口:
非常に大きいです。お互いに作り上げてきた会社の文化が似ていると思いますね。
吉村:
つい先日、お客様から直接、社員教育に関して注意をいただきました。直近起こったのは、お客様がある社員に「1時までに連絡が欲しい」と伝えたのに、その社員が別の社員に「ご連絡は1時にお願いします」と伝えたことで、結果としてお客様からすれば約束と違う時間に連絡がきたというミス。その他も重なったことで、お客様から信用を失ってしまいました。
そのお客様には、私から真摯に謝罪し、今後同じことを繰り返さないとお約束しました。同時に現場のレベルも再確認できたので、その後、全社に「悪い意味で、仕事に慣れすぎていないか」と注意しました。お客様は優しい方が多いので、これまでもそういうミスがあったのに、指摘されなかっただけかもしれない。
我々にとって不動産を扱うのは毎日の仕事ですが、お客様にとっては一生に一度あるかないかの重大な場面です。その認識がズレてしまうと、日々の仕事が、単なる作業や慣れあいになってしまう。自分たちが扱うのは高級商材であり資産運用であること。お客様の人生に向き合っているということを再度強く意識してもらうためにも、社員の教育は非常に大事です。
吉村:
最初、樋口さんに誘っていただいた際は「いやいや絶対ないでしょ!俺、自分で出来るし経営うまくいってるし!成長しているし!」と、断ると言うよりも「ナイナイ!(笑)」という感じでした。
ですが、ちょうど1年前くらいからですかね。新型コロナウイルスに伴う社会全体の価値観の変化や、リモートワーク・ZOOM商談の増加、IT重説など、業界のみならず世界全体がどんどん今の生活様式から変化していく。当然、ビジネスの現場や働き方も、年を追うごとに激変する。そんな急変していくビジネスの未来において、不動産テック企業として躍進している樋口さんの誘いを若干考え始めました。
率直に、事業の面では絶対に一緒になったほうがいいと思いました。GAテクノロジーズは、いまだにレガシーな慣習の強い不動産業界をテクノロジーの力で確実に変えていっており、急成長を遂げている。「GAテクノロジーズが持っている技術やノウハウを取り入れることができれば、パートナーズとしてすべての部署、そして今後の事業領域にとって、これ以上飛躍できることはない。会社も激変するだろうし、未来は揺るぎなく確実に絶対明るくなる」と思いました。
一方で、一番引っかかったことがありました。
それは私個人のプライドでした。
事業の面では間違いなく良いシナジーがあり、社員の未来もより明るくなるとわかっていながら、私が社長になったのは「人の言うことを聞きたくないから」だったので(笑)。そこが大丈夫かな、と……。あと男としての変なプライドとの葛藤で……。
正直かなり悩みました。
だからこそ、もちろん樋口さんに敬意は払いますが、下に着くつもりはありません。って、言葉に出しちゃうところが子どもですよね(笑)。
私もまだ40歳ですし、これで人生が終わるわけではない。パートナーズの経営者としても、吉村拓としても、さらに成長する必要があると感じています。
腹を括り覚悟を決めましたので、GAテクノロジーズグループのリソースをフルに活用させていただきます!そしてパートナーズのみならず、GAテクノロジーズグループ全体の飛躍に貢献出来れば幸いです。
まだ1週間ですが、GAテクノロジーズ社内の雰囲気を感じさせてもらい、早くもワクワクしています。これからはライバルではなく仲間。同志として同じ目標に向かって走っていきます。
樋口:
私も、パートナーズをM&Aするのではなく、自社内でできないかと検討した時期もありました。でも、今から自社だけでなんとかしようとすると、最低でも5年、もしくは10年はかかります。そのペースでは、私が目指す「世界のトップ企業」にたどり着くには遅すぎる。だから、吉村さんにお声がけしました。
パートナーズとGAテクノロジーズが一緒になることで、不動産の購入から売却まで、一気通貫かつワンストップの世界観が実現できる。また、不動産のみならず資産運用すべてを網羅的にグループで完結できる。これが実現できている会社は、まだ1社もありません。お互い、経営者として「自分の会社でなんとかしたい」という思いはありますが、それまでにかかる時間を考えると、間違いなく一緒になったほうがいいと思った。
パートナーズという強い会社が仲間に加わったことで、これまでにないようなプラットフォームが実現できると確信しています。
吉村:
お互いに考えていること、目指すところは同じですよね。私も当然パートナーズを上場させることや、自社でエンジニアを雇用することを有識者や顧問を招いて検討・実行しましたが、そうなると今から上場して加速するのに軽く10年はかかってしまう。数ある選択肢の中で、最もシナジーがあると思えたのがGAテクノロジーズでした。
正直、GAテクノロジーズ以外にもM&Aの話はありました。でも、どんなに知名度があっても、条件が良くても、ほかの会社とではパートナーズ及び全社員が輝く未来が正直見えなかった。唯一、GAテクノロジーズなら、そして最終的には、樋口龍という漢となら一緒に夢を追える、と思えたのが決め手ですね。
樋口:
不動産業界で、ここまで組織をしっかり作り込んでいる会社は、パートナーズ以外にないと私は思います。理念が非常にしっかりしていて、それが社内に浸透している。それこそがパートナーズと他の会社の一番大きな差別ポイントだと思います。
吉村:
私と樋口さんは、目指す方向が同じ。ともに目的を達成するために手を組んだという感じですね。合従軍と言った方がしっくりくるかもしれない(笑)
樋口:
同じGAテクノロジーズグループの仲間として、ともに戦っていきましょう。
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