2019年11月のCxO制度導入を機にスタートした新たな役員・CxO就任者へのインタビューシリーズ。当シリーズでは新任者の経歴や就任の背景、そして今後の目的・意気込みについてインタビュー形式でお届けします。
8回目となる今回インタビューするのは、新たに執行役員 Chief Business Officer(最高業務責任者、以下CBO)に就任した吉村 拓(よしむら たく)です。
学生の頃から「社長になりたい」という漠然とした思いがありました。そのために、まずはビジネスの基本である営業力をつけようと考え、高級商材である不動産業界を志望。
ある程度実力がついたら独立する予定だったのですが、目の前の仕事の面白さや役職・給与などの待遇にしばらくは満足していました。
転機となったのは2011年3月の東日本大震災です。ボランティアとして訪れた被災地で、自分の人生を考えるきっかけをいただきました。
「自分が培ってきた不動産の知識やノウハウで、困っている人の役に立ちたい」という決意が固まり、2011年9月に株式会社パートナーズを設立。増収増益は社長としての務めだと考えて経営を続け、おかげさまで10期連続の増収増益を達成することができました。
一方、2020年に始まった新型コロナの影響で、私たちの暮らしや価値観は大きく変わりましたよね。テクノロジーの活用は、あらゆる業界で待ったなしの状況に。ビジネスの未来を考えたときに、すでにテクノロジーを活用して急成長しているGAテクノロジーズと同じグループになることは、パートナーズにとって間違いなく良い選択だと思いました。
正直、頭ではいいとわかっていても心がついていかない時期もあり、かなり悩みました。しかし最後は、パートナーズとその社員のより良い未来は何かということを考えて、今回の決断に至りました。
GAテクノロジーズについては、数年前から「ITを活用して、これまでの不動産会社にない取り組みをしている会社がある」という噂を聞いていました。取引先としてお付き合いがあったこともあり、存在は気になっていましたね。
2017年頃、まだGAテクノロジーズが恵比寿に本社を構えていた際、オフィスに伺う機会がありました。当時はエントランスにPepper君がいて、こういう感じなんだ!と驚いたのを覚えていますね。いわゆる「不動産屋」という印象が一切なく、IT企業のようでした。
そこで、「こんな会社の社長は、一体どんな人なんだろう」という興味が湧きました。
樋口さんと初めて会った時も驚きましたね。当時は不動産業界で働く人、特に社長といえば「オーダースーツに、豪華で派手な時計」というイメージが強く、私もそうでした(笑)。しかし樋口さんは、最初からジャケットとパンツというカジュアルなスタイルでした。しかも、席に着くなり取り出したのは Mac。これまで見てきた不動産会社とはまったく毛色が違うと思いましたね。まとっている空気感に加え、無駄に爽やかイケメンだったこともあり、IT企業の社長のような印象を受けました。
それからは、毎年互いの誕生日を祝ったり、樋口さんの家で業界の未来や仕事の話に没頭するなど親交が続きました。
樋口さんは、話していておもしろいんです。GAテクノロジーズは「世界のトップ企業を創る。」というビジョンを掲げています。私も目先の売上ではなく、常に成長、トップを目指していたので、経営者としての目標の高さが共通していました。
あとはやはり、理念に基づいて経営をしている点でしょうか。とくに、社員にしっかり向き合っている姿勢には共感しました。
会社によっては「営業なら、数字だけ上げていればそれでいい」という方針のところもあります。しかし樋口さんはそうではなく、人間性の部分を非常に大切にしている。社員との向き合い方が、他の社長とは違うと感じていました。
そういった経営面での共通点の多さも、同じグループになる決め手でしたね。
まず力を入れるのは、お客様に提供する商品のラインナップを増やすことです。
パートナーズが創業期から重視しているのが「物件の仕入れ」です。どんなにセールスが強くても、提供できる商品がなければどうしようもありません。逆に、お客様にとって魅力的な商品がたくさんあれば、満足感のある決定をしていただける。お客様にとって良い物件をしっかり仕入れることは、非常に重要なポイントです。
GAテクノロジーズではこれまで、投資用不動産として50平米以下のコンパクトマンションを主に扱ってきました。そのTAM(※1)は1.5兆円と言われますが、中古投資不動産市場に目を向けると、TAM13兆円のマーケットになります。今後はワンルームだけでなく、DINKSやファミリー向けの大きな物件はもちろん、ビル、土地など不動産に関わるあらゆる選択肢に対応したいですね。
※1 TAM:Total Addressable Marketの略。製品やサービスにおける実現可能な最大市場規模。
みなさんが買い物をするとき、商品が少ないお店やサイトは、まず利用しないのと同じですね。さらに「偶然出会ったものを買う」など、買い物という行為を存分に楽しむためには、商品が充実している必要があります。
多くの方に我々のサービスを選んでいただくために、選択肢を増やすことは必須だと考えています。
さらに、GAテクノロジーズには「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を。」というミッションがあります。物件の仕入れに関しても、これまでパートナーズにはなかったテクノロジーを活用します。担当者ひとりが対応できる物件数を、効率的かつ飛躍的に伸ばすことができれば、GAテクノロジーズグループ全体の成長に間違いなく貢献できると考えています。
また、テクノロジーだけでなく、やはり重要なポイントは人的なリソースです。すでに採用計画を立てており、積極的に優秀な人財をアサインしたいと思っています。
もちろん採用だけでなく、教育も非常に重視しています。むしろ、これが最優先と言えるかもしれません。パートナーズのカルチャーとしても、教育に「愛を注ぎ込む」ことは今後も変えず、かつここまで売上を短期間で伸ばしているGAテクノロジーズのノウハウも活かしていきます。
GAテクノロジーズグループの経営メンバーと関わる機会が増え、テクノロジーだけではなくさまざまなことに対応できる魅力的な「人」がとても多いことに、とてもワクワクしています。
というのも、もともとは「テクノロジーを活用したい」という想いが強かったのですが、機能や仕組みだけでなく「個の力」が結局一番重要だと感じています。
GAテクノロジーズでは、投資不動産セールスの社員に対して、大手保険会社で活躍していたメンバーが教育プログラムを考えて実行しています。マニュアルやカリキュラムもしっかりしているからこそ、高いレベルでお客様の資産形成を考えることができる。
セールスの教育担当を始め、GAテクノロジーズには各方面の専門家が揃っているんです。広告のプロ、エンジニアリングのプロなど、面白い人がたくさんいる。これは本当にすごいことですし、同じグループになったからこそ互いのリソースを活用してさまざまなことに挑戦できると考えています。
新型コロナが猛威を振るう前までは、多くの人が本業のみに注力していました。しかし、本業が危機的な状況になってしまった人もいれば、リモートワークが普及して通勤がなくなった人もいる。いずれにしても可処分時間が増えたり収入が減ったことで、副業を考える人が以前に比べて増加したんです。
しかし副業は「時間をお金に変える」ことが多く、体力的・精神的な問題で挫折する人も多い。それで多くの人が「お金に働いてもらう」こと、つまり資産運用に興味を持ち始めています。
日本の個人資産は、2020年末時点で総額1,948兆円と言われますが、うち預金が1,056兆円を占めます。これは、私たちが「何かあったときのために預金をするべき」という教育を受けているから。
顕著なのが株式市場ですね。東証一部の取引のうち、約7割のシェアを占めるのは海外投資家です。日本はまだまだ投資のリテラシーが低いと言わざるを得ないのが現状です。
個人資産のポートフォリオは大別すると、現金・不動産・保険・株のいずれかに分類されます。パートナーズではこれまで、不動産の売却・管理・購入を託していただいたお客様に対して、それ以上満足度の高いサービスを提供できていませんでした。しかし考えてみると、不動産は団体信用生命保険や火災保険など、保険との親和性が非常に高い。12万社も不動産業者がある中で、パートナーズを選んでくださったお客様に何か提供できないかと考え、設立したのが株式会社ラピスです。保険のプロが資産運用のアドバイスをすることで、不動産売却や購入後のポートフォリオも深く考えられるようになりました。さらに、物件購入時にはほとんどの方が火災保険に加入されますが、それも保険のプロが説明することで理解度が高まり、納得のいく保険選びをしていただけます。
中古投資用不動産市場は13兆円ですが、生命保険の市場は40兆円と言われます。とくに世界の収入保険料ランキングを見ると、1位はアメリカですが、2位は日本です。不動産を所有していなくても、生命保険にはほとんどの方が加入している。それほど日本は生命保険大国なのです。一方で「保障内容がわからない」「契約時から変更しておらず、内容は古いまま」という方も多い。不動産売却を、改めて個人資産のポートフォリオやその先の人生を考えるタイミングとして活用してほしいと思っています。
さらに、気軽に投資を始めたい方に向けて、クラウドファンディングをご用意しています。
毎回、開始後すぐに募集金額を超える応募をいただいており、多くの方が何かしらの資産運用を検討されていることを実感します。
クラウドファンディングは、スマホ1台、オンラインで完結でき、不動産投資の疑似体験として活用いただけるサービスです。
仮に投資額が1万円だとしても、お金を出すとなると提供している会社や商品を調べますよね。そういう積み重ねがマネーリテラシーを上げるために重要だと考えています。
不動産、投資、株、保険。
すべて一気通貫でGAテクノロジーズグループで提供できるようにしたいと思っています。
本当にやりたいことがたくさんあって、毎日ワクワクしています。
将来的には日本人の投資リテラシー向上に向けて学校を設立したり、資産運用に関する授業の実施まで考えています。不動産でも保険でも、基礎となる金融知識がなければ本質的なことは何も変わりません。それを解決できるのは教育です。
2022年度から、高校の授業に「資産形成」の内容が導入されます。日本における金融教育もようやくスタートしますが、今後は高校だけでなく中学校、小学校と広がっていけばと思いますね。理想の暮らしを実現するためには、個々人が資産運用を積極的に考えなければいけない。パートナーズ創業期からの想いは、今後も変わりません。
RENOSYが掲げる「住まい探しと資産運用を、もっとカンタンに。」というテーマとも合致していると思いますね。
パートナーズはこれまで「人が持つ力」で成長してきました。
2019年に実施した新卒採用説明会で、学生さんから「もし会社が倒産したらどうしますか?」という質問が出たんです。すると、そこにいた先輩社員全員が「そもそも倒産しない。万が一、今の事業が立ち行かなくなっても、社長がラーメン屋をやると言えばラーメン屋を全力でやる。保険をやるなら保険をやる。このパートナーズのメンバーなら、どんなビジネスでも成長させる自信がある」と言い切ってくれたんです。
経営者として感涙ものですね(笑)。とても嬉しかったです。自分が信じているように、社員も信じてついてきてくれていることに、本当に胸を打たれました。
経営はどこまで行っても「人」だと思っています。テクノロジーを活用するのも、結局は人です。人が持つ可能性や、さまざまなプロフェッショナルが集まっている環境を最大限活かしたい。だからこそGAテクノロジーズグループになるという決断をしたんです。
経営においても人生においても、GA GROUP SPIRITS(GAGS)の HEART が最も重要だと考えています。「数字さえ出ていれば、社員が何をやっていても構わない」という考え方は、私には合いません。GAGS は、仕事だけでなく良い人生のために必要なことだと思います。
GAテクノロジーズの執行役員には、すでに優秀な人がたくさんいます。一方、オーナー社長が執行役員になるのは初めてのこと。経営者ならではのアイディアや視点もたくさん出していきたいですし、これまで同様、日々数字をシビアにとらえて向き合っていきます。
パートナーズという会社だけでなく、GAテクノロジーズグループというもっと大きい場所で微力ながら貢献して、「世界のトップ企業を創る。」というビジョン達成のために一緒に走っていきます。
※撮影:今井淳史
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