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緊急事態宣言下に起きた変化と アフターコロナにおける重要なキーワード

日米PropTech経営者・VCが語る。
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GAの日常

Jun

22

Mon

WORDS BY増田 剛士
POSTED2020/06/22
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新型コロナウイルスの感染拡大は、世界経済に影響を与えています。各国で相次ぐロックダウン、外出規制等は不動産市場にも影響を及ぼし、世界各地で不動産取引や業務、不動産のあり方そのものが問われ始めています。そのような中で、テクノロジーを活用した不動産・建設領域のPropTechスタートアップによる動向は世界各地で一層盛り上がりを見せており、各国間のコミュニティ連携も活発化しています。

今回のGA MAG.では、そんな状況下、5月29日に開催された株式会社デジタルベースキャピタル様主宰「これからのPropTech(不動産テック)の未来とは -日米PropTech経営者・VCが語る-」のイベントレポートをお届けします。サンフランシスコにてPropTech領域に挑むAnyplace 内藤聡氏、日本初のPropTech特化型VCを運営する株式会社デジタルベースキャピタル桜井駿氏と共に、弊社代表 樋口とイタンジ代表 野口が「アフターコロナ時代におけるPropTechの未来とは」というテーマについて議論しました。

全3編の2本目となる当記事では、パネルディスカッションの前編をお届けいたします。

PROFILE
  • Anyplace Inc. Co-founder & CEO
内藤聡(ナイトウサトル)
2015年大学卒業後に渡米。サンフランシスコで、いくつかの事業に失敗後、2017年にホテル型賃貸サービスのAnyplaceをローンチ。同年ウーバーの初期投資家であるジェイソン・カラカニス氏から投資を受ける。
  • 株式会社デジタルベースキャピタル 代表パートナー
桜井駿(サクライシュン)
みずほ証券株式会社、株式会社NTTデータ経営研究所を経て株式会社デジタルベースキャピタルを創業。日本初となるPropTech/不動産テック特化型ベンチャーキャピタルを運営し、同領域のスタートアップへの投資を行う。1,200名以上が参加する不動産/建設領域のスタートアップコミュニティPropTech JAPANの設立、経済産業省 新公共サービス検討会 委員、一般社団法人Fintech協会の事務局長を歴任するなど、同領域へのエコシステム構築に携わる。
主な著書に、「決定版FinTech」(共著、東洋経済新報社)、「超図解ブロックチェーン入門」(日本能率協会マネジメントセンター)がある。
  • 株式会社GA technologies 代表取締役社長 CEO
樋口龍(ヒグチリョウ)
幼い頃より世界的なサッカー選手を目指し、ジェフユナイテッド市原(現J2)に育成選手として所属。24歳の時にサッカー選手の夢を諦め、不動産会社へ就職。
2013年に"巨大なマーケットを形成しながらも極めてアナログな不動産業界にテクノロジーで革命を起こす"と志し株式会社GAtechnologiesを設立。2017年、業界に先駆けてのAI戦略室(現AI:Strategy Center)を設置。その後もブロックチェーン専門組織の設立や、教育機関との共同研究の実施など、不動産ビジネスのDX推進に取り組む。2018年7月に、創業から5年で東京証券取引所マザーズに上場。同年、イタンジ株式会社をM&Aし、現在7つのグループ会社を経営。
  • イタンジ株式会社 代表取締役
野口真平(ノグチシンペイ )
早稲田大学教育学部卒。同大学在籍中、早稲田大学主催のビジネスプランコンテスト優勝、同年に学生向けSNSを作成し起業。その後、IT企業に入社し、エンジニアとしてシステム設計を担当。2014年2月、イタンジ株式会社に入社。 同社でWEBマーケティング、不動産仲介業務、システム開発、管理会社向けシステムのコンサルティング業務、執行役員を経て、2018年11月代表取締役に就任。

コロナによるもっとも大きな影響・変化

桜井 駿氏(以下、桜井):ここからモデレーターを務めさせていただきます、株式会社デジタルベースキャピタルの桜井です。宜しくお願い致します。

株式会社デジタルベースキャピタル 代表パートナー 桜井氏

桜井:内藤さんはアメリカからご参加いただいてますし、売買と賃貸それぞれの領域で国内の市場をリードしているGA、イタンジの皆さん。日本とアメリカでビジネスをしている方々にご参加いただいておりますので、今まさに新型コロナウィルス拡大の影響を受け、良くも悪くも変革のタイミングにさしかかっている不動産業界が今後どういう風になっていくのか。そういったテーマでディスカッションをしていきたいと思います。

いくつか設問というか問いがありまして、それに応じて進めていきたいと思います。まずはじめにGA、イタンジ、Anyplaceの皆さんがコロナで受けたもっとも大きな影響というか、変化ですね。

我々も今回のオンラインイベントをどうやって盛り上げようかと試行錯誤をした結果、なぜかアナログなフリップ作戦ということになっておりますので、自社においてコロナのもっとも大きな影響・変化は何かっていうのを三社の皆さんに一斉にフリップでご提示いただきたいと思います。

ご準備よろしいでしょうか?それでは、デジタルとアナログの融合ということで、皆さんフリップのご提示をお願い致します。

画面左上:イタンジ株式会社 代表取締役 野口 / 左下:株式会社GA technologies 代表取締役社長 CEO 樋口

桜井:イタンジ野口さん、セルフ内見マインド。GAテクノロジーズ樋口さん、セールス改革。Anyplace内藤さんがサプライということで、これがそれぞれどういうことなのかっていうのをお聞きしていきたいと思います。

まずは、イタンジ野口さんから。セルフ内見マインドということで、これはどういった内容になるんでしょうか?

野口 真平氏(以下、野口):はい、緊急事態宣言が出た時が結構分かれ目だったんですけども。

不動産賃貸仲介の取引というのは、基本的に店舗に来ていただくことがスタンダードになっていまして、そうすると仲介店舗は基本的に3密になってしまいます。で、その3密の状況に消費者は当然来れないので、賃貸仲介が取引がほぼできないような状況になっていました。

そして、日本でコロナの影響が出たのは不動産業界にとってかなり致命的な3月とか4月。これって実は賃貸の繁忙期なんですね。この一番盛り上がっている時期に緊急事態宣言が出て、店舗がうまく機能しなくなってしまった。その時に各不動産事業会社様が「これはまずい」となって、例えば先ほど紹介したような内見代行とかをやろうとしていたんですね。

仲介店舗は人件費や場所代といった固定費が特に多いんですけども、飲食店と同じ様にここが赤字状態になっていました。今回は2ヶ月ほどで緊急事態宣言が終わりましたが、またこれが来たら流石に会社が持たないというマインドになって、ちょうど緊急事態宣言が出てから1、2ヶ月後くらいに「セルフ内見を検討したい」というお声が大手の企業様から入り始めました。

今まではセルフ内見のリリースを出しても、大手の会社は結構ディフェンシブな考え方をしていました。それが、「これはやらないといけない」と。元々は「将来的にはやっていく可能性はある」みたいなトーンだったのが、「今やらないとこれはまずい」というトーンになりましたので、セルフ内見マインドというような変化ですね。

桜井:賃貸仲介、特に中小とか零細の事業者さんなんかだと手元資金の余裕がなくなってきてしまっていて。当然、お客様とのやり取りが減り、売り上げ自体も減少していています。一部顧客の単価、前だったら20万円くらいの賃料がターゲット層だった賃貸仲介会社さんが、10万円くらいに落ちたりとか、様々な影響が出てるという風にも一部聞いています。

実際、野口さん達がやり取りをする中で、賃貸仲介の領域でもいわゆる規模が大きい大手や中小、もう少し小規模でやられている方々との間で動きの変化とかやり取りの変化は何かあったりしますか?

野口:在宅ワークに対応できなかった会社さんは取引自体ができない、という極端な例になってしまいました。

3月、4月とかは理由があって住まいの引っ越しをするので、この期間に関しては極端に賃貸の流動性が減らなかったんですね。しかし、それに対応できるかできないかというところで、ものすごい業績に差ができてしまっていました。

だから、大手の会社でも例えばリモートワークを認めなかった場合は対応が激減している会社もありますし、一方でそれをリモートで対応できているような会社はその需要をきちんと取りこぼしなく対応できていた会社もありますので、二極化してたなという感じですね。

桜井:なるほどですね。
次に内藤さんにお聞きします。もう一度フリップをよろしいでしょうか?

桜井:サプライということで。アメリカの今の状況は日本にいる僕らが把握しきれてないところもあると思うので、アメリカの状況も踏まえてサプライということで、解説いただければと思います。

内藤 聡氏(以下、内藤):弊社にとってコロナの影響は、良い影響・悪い影響あるんですけど、悪い影響でいうともちろんデマンド。お客様が移動できなくなってるんで、予約数やデマンドが減ってますと。桜井さんとか、樋口さん、野口さんは株主なので、申し上げづらいんですけど、そこは停滞しています。

一方良い変化でいうと、サプライヤーからの問い合わせがめちゃくちゃ増えました。特にショートタームのオペレーターですね。ホテルであったり、バケーションレンタルの運用会社だったりとか。彼らも稼働率が10%、20%になっちゃったのと、コロナが回復していくのに最低1年はかかるだろうと考えているので、いかに今ある在庫物件を違った形で売れるかを模索している段階です。

それに関しては、我々にとってチャンスだなと。デマンドに関してはコントロールできないんですけど、サプライヤーに関してはフォーカスしてどんどん伸ばしていこうと考えています。

桜井:ありがとうございます。
内藤さんは普段アメリカのサンフランシスコにいらっしゃいますし、サービス自体はアメリカ国内、およびグローバルに展開されていると思います。今、お話いただいたような影響は国内や国ごとで差があるんでしょうか?

内藤:いや、どこも主要都市が外出規制とか国間の移動ができなくなっているので、そういう意味だとどこも同じ状況ですね。予約もあまり生まれないんですけど、ただ一方でどこもサプライヤーは大変なので世界各国から問い合わせをいただいています。

桜井:さっきの野口さんの話にも共通する部分があるのかなと思うんですが、サプライヤー側の人たちも急遽対応しないといけないという状況の時に、今までやっていなかったことや新しい分野で幅出しをしていくことは結構大変だと思います。

内藤さんに問い合わせをしている人たちの規模感とか、意思決定が早い遅いっていうとこで、プレイヤーごとに差はあったりするんですか?

内藤:そうですね。今問い合わせいただいているお客様は、大手のチェーンとかではなくて中小規模のところが多いですね。意思決定も早くて、「早くどうにかしたい」っていう方達から問い合わせいただいてます。

USの事例で言うとですね。我々は長期でホテルを貸し出すという方法ですが、時間貸しで貸し出すようなサービスも出ています。要は1時間からオフィスとしてホテルを使えるとか住居として使えるサービスは出たんで、ちょうど昨日ですね。サンフランシスコ市内は市がそのサービスはコロナの危険性があると。短時間で入れるので、その間に時間が発生しないじゃないですか。コロナの時期ってホテルだと前のお客さんと次のお客さんを入れるまでに24時間とか48時間くらい時間をあけるというのをやってるんですけど、時間貸しをするとそういう時間が作れないのでコロナの感染の拡大リスクがあるので、罰金とか営業をするなというニュースがちょうど昨日話題になっていました。

桜井:ありがとうございます。
では、次に樋口さんお願い致します。樋口さんはセールス改革ということで、GAテクノロジーズの皆さんのコロナの影響・変化はどういった状況でしょうか?

樋口 龍氏(以下、樋口):今まで不動産の実業って、当然テクノロジーで効率化っていうのもそうなんですけど、業務自体が非常にレガシー。

そもそも、テクノロジーを入れなくても組織改革でできることって非常にあって、例えばグループ会社にモダンスタンダードっていう高級賃貸の会社があります。イタンジとの住み分けは高級賃貸なので、管理会社的にも例えば六本木ヒルズにセルフ内見OKかといったらそれはダメだと。エージェントが必ず付き添わないといけないと。そういった住み分けで高額賃貸に関してはエージェントがいます。

そうなった時に例えば顧客もそんなに物件を借りるっていうニーズが強くなかったとしても、一旦物件を見に行きたいというニーズがあったりするんですね。そうすると、一軒の物件のためにエージェント側も足を運び、顧客も借りるつもりがなかったマインドで物件見にいくことによってお互いの生産性が非常に低い、という問題がそもそも賃貸も売買もあったんですね。

そこで、このセールス改革って何かっていうと、オンラインで商談・コミュニケーションが事前に取れることによって、現場に行かずともお互いのニーズを確認することができます。そうすることによって、そもそもの商談数がコロナ前とコロナ後で非常に増えましたし、実際の成約率も高めることができている。それが、コロナによってカスタマー側も我々事業者側も双方が変わるきっかけになっている、というのは感じますね。

桜井:不動産って注文住宅とか戸建てのお家を買う時にも、なんとなく住宅展示場に行って、家を見てるうちにだんだん購買意欲が固まって、そこからセールスのパイプラインになる。特に不動産はふわっとしたきっかけというかニーズをプールしておいて、そこから顧客化するということが大事だと思います。

そこをオンラインで実証していくにあたって、先ほどイタンジの野口さんもおっしゃっていたようにリモートワークへの対応とか、不動産会社側が対応を即座に取れるのか取れないのか。そして、対応を取った際にもITとリアルを融合するっていうのは、実際にオペレーションを組むのもそうだし、現場のスタッフとか従業員の方がいかに対応できるか、というところも重要になってくると思います。GAの皆さんに関しては「対応する」となってから完全にすんなりとはいかなかったかもしれませんが、実際どういった現場状況だったんでしょうか?

樋口:やっぱり創業からリアルをベースに会社を作ってきているという中だと、リアルのエージェントとか設計士はリアルオペレーションをやってますと。そういった方達ってITリテラシーはそんなに高くないです。しかし、我々は創業からツールの導入とか、隣にエンジニアがいるので常にフィードバックし合えるというそもそもの土壌があります。当然若干の時間はかかりますけど、それに伴うことなくスムーズに変化に対応できるので、改めて組織の風土文化や柔軟さが非常に重要だなと今回で感じました。

アフターコロナにおいて重要となるキーワード

桜井:ありがとうございます。

それでは、次の質問に移りたいと思います。先ほどの質問でコロナで起こった影響・変化を振り返っていただいたんですが、今度はアフターコロナにおいて重要なキーワードや施策。どんなところに注力していくのかをフリップ形式でご提示お願い致します。

桜井:野口さん、濃密と二極化。樋口さん、ワンストップ。内藤さんがリモートということで、また野口さんから。アフターコロナのキーワードということで、濃密と二極化についてご説明をお願いします。

野口:三密回避をしないといけない状況下でなんで濃密化というと、空間的な内容に関しては、間違いなく密を回避するという方向にしばらくはトレンドが向くだろうなと思っております。なので、デジタル化というのは進んでいくんですけど、一方で時間的な考え方。時間当たりの人の生産性というのは明らかに濃密になってきている、と私は実感しております。

仕事でもプライベートでもそうなんですけど。例えば、これまで会議を連続させていたとしても、会議室への移動時間があって、移動時間のコストがあって、誰かが参加しないと開催できない、とかあったと思います。しかし、今では1日に会議を10個やることもできたりしているんですね。これってすごい時間が濃密になっていて、どんどん断続的にいろんな事をできるようになってきている。

打ち合わせだけじゃなくて、訪問商談とかも強制的に皆さんがZoomとかを入れるようになってきたので、商談もリモートでいい。私、1日で大阪から北海道行ったり、名古屋から九州行ったりしていたので、1日に多い時で3商談だったんですけど、今は6商談とか平気でやってます。なので、どんどん濃密になっていくなと感じています。

これはプライベートでもそうだと思うんですけど。ちょうど一昨日くらいに「飲みましょう」と夜10時に連絡が来まして。「それじゃ、日程調整しましょう。」「今から飲みましょう」となったんですよ。これ、皆さんおかしいと思いませんか?「今から飲みましょう」となって、Zoom開催して、その瞬間から飲めたんですよ。要は、私はまだニューノーマルに思考がチェンジできてなかったと思ったんですね。

今までの飲み会って7時から始まって10時くらいに終わって、帰ってお風呂入って寝るじゃないですか。だけど、今のスタンダードって逆だなと思っています。食事を食べて、お風呂に入って、その後10時とかがむしろ飲みやすいなと。飲んだ後にそのまま寝れるし、しかも日程調整とかもいらなくて、その時々に飲みたい人を招待すれば場所に行くコストとかもないので、そこで開催できるじゃないですか。

だから、ライフスタイルも仕事のやり方も完全にニューノーマルになっているのに、まだ思考をチェンジできていないなと思ったんですよ。

仕事に関してはだいぶZoomハックができて、教育の面でもログを残してビデオ展開とか必須化したんですよ。その結果どんどん濃密になってきて、プライベートもそれに対応してきているな、という感じです。それをやっていくと、ビジネスの面では二極化するなと思いました。一方では全く対応できていない会社があって、逆に生産性が落ちている。クラウドにも移行できない。自宅でも仕事ができない。生産性が下がる。一方でそれが濃密になっている会社はトレーニングもできて、どんどん時間も圧縮されている、というところで二極化しているという風に思っています。

桜井:実際、その二極化にあたって、野口さんご自身は対応されて生産性が上がっていると思いますが、イタンジの皆さんの二極化対応っていうところはいかがでしょうか?

野口:正直、この2、3ヶ月間は疲弊しましたね。皆、予定を詰めるので、とても働いちゃって。私の嫁は大手の企業に勤めているんですけど、むしろ緩かったみたいなことを言っていて、それで二極化だなと思ったんですね。

一方で、私は朝の8時から夜の12時くらいまでカレンダーが埋まるような状況になってしまっていて。それはイタンジの社員もそうで、濃密かつ効率の良いやり方ができているのかなという感じです。

桜井:ありがとうございます。
では、樋口さんはいかがでしょうか?アフターコロナのキーワードということで、再度フリップをお願い致します。はい、ワンストップですね。

樋口:創業からワンストップっていう、メディアを持ちながらも実業をやり、最後までやるっていうことを追求してきたんですけども、それを改めてコロナによって感じたなと。

さっき冒頭で言った不動産を買うっていうプロセスにおいては、そもそもほぼ99%の方が金融機関から融資を受けなければいけないと。当たり前なんですけど、今回購入とかっていうプロセスにおいては金融機関も稼働率を50%くらいにしていました。そうすると、金融機関もリモートの業務に対応出来ないという現象が起こったことによって、持ち込みができないということがあったんですね。

そうなった時に、ある程度自社で賄える部分は自社でやっておかないと、どこかの供給・サプライヤーに依存するというのは非常にリスクだなと、改めて売買のほうも賃貸・購入の方も感じました。

大手管理会社、大手デベロッパーさんに関すると、このコロナのタイミングで業務自体を停止したっていうケースがほとんどだったわけですね。そうすると、物件を管理・保有していないことによってそこの業務が分断されてしまう、ということが多々ありました。当然、自社でワンストップっていうところもそうですし、実際にそういったツールを各不動産会社に提供していくことにより、こういった不測の事態があった時にシームレスにネット上でやり取りできるかなと。

なので、ワンストップっていうのと、たくさんの不動産会社さんにIT化のツールを導入していただく、というのを改めて推進していかなければいけないなと非常に強く感じました。

桜井:ワンストップっていうは自社で実施する場合と、業界全体で実施する場合の2つ考え方がもしかしたらあるのかなと思うんですが。
結局一社で出来ることもあれば、最終的には他のプレイヤーの人達との連携も必要になってくるというところでいうと、まずGAの皆さんとしては自社でワンストップ化を進めてきてたというイメージになるんですか?

樋口:そうですね。我々の戦略で、まず自社でワンストップを進めて、そこでPDCAを回し、実際に各不動産会社さんに提供していくことによって業界全体がシームレスになる、というのをやってきました。

桜井:なるほどですね。ありがとうございます。
では、Anyplace内藤さんお願い致します。今後のキーワードということで、リモートですね。

内藤:コロナが我々にもたらしたものって、私は時計の針を強制的に2~3年進めたようなイメージなんですね。リモートワークとかも強制的に導入してやっていると。

そんな中で、コロナが終わったとした後に正直大体のことは元に戻ってしまうと思うんですね。リモートワークも正直ほとんどの会社がオフィスで、ということになると思うんです。もちろん、オフィスでパフォーマンスが上がる社員もいますので。ただ、一部の会社はリモートを続ける、それはすごい大きなことだなと思っています。

例えばEコマースを例にとって考えてみると、ECって誕生してから20年くらい経ちますが、ECでの消費って今でも全体の消費の6%くらいなんです。だから、我々はほとんどリアルで消費していますが、それでもECって我々の生活をめちゃくちゃ変えたじゃないですか。それと同じようなことがリモートワークにも起こると思っていて。全体の労働人口のリモート化率が一桁パーセント代でも大きな変化を起こすんじゃないか、と我々は思っています。

で、強く思っているのは若い人たちを中心にオフィスに行く意味がわからなくなる。もちろん産業とか職種によってはオフィスに行かないといけない、という仕事があります。ただ、こういうITの業界だったりとか、若い人たちを中心にリモートで働けるっていう職がどんどん人気が出てきて。例えば、名刺を使っているとか、スーツを着ているとか、理屈は分かるんですけど、ただ若い人中心に非効率だしやりたくないとか。そういう風な感覚でリモートワークも捉えられていくんじゃないかなと。そうなった時に、オフィスのあり方とか賃貸のあり方にどういう変化が起きるのか、というところは注目していきたいです。

桜井:ありがとうございます。
内藤さんたちは本社サンフランシスコで、コロナ前からもともとリモートでいろんな国のチームをマネジメントしてたと思うんですけど、コロナによってチームのマネジメントっていうところに変化はあったりしたんですか?

内藤:我々はほぼなかったですね。桜井さんがおっしゃった通りコロナ前からフルリモートで働いていて、オフィスが無くて世界でリモートですね。

実はサンフランシスコのベイエリアは、めちゃくちゃそういう企業あるんですよ。GitLabとかInVisionとかAutomatticとか社員500人とか1,000人いるような会社がオフィスないみたいな。彼らもユニコーンで数百億円の売り上げもあげていてっていう会社がコロナ前からあるので、コロナ後はもっとそういう組織が増えていくんじゃないかなと。

現にシリコンバレーって昔までは投資家、VCとかもリモートのチームに対して凄いネガティブだったんですよ。企業文化が育たないとかそいういう理由で。でも今はどんどんリモートでやって、優秀な人材をリーズナブルな値段で世界中からハイヤーしようという流れになってますし、リモート向けのツールとかも投資対象になっているので、それは大きな変化だと感じますね。


vol.1 アフターコロナ時代におけるPropTechの未来とは?

vol.2 緊急事態宣言下に起きた変化とアフターコロナにおける重要なキーワード(当記事)

vol.3 日米PropTech経営者が語る。アフターコロナを見据えた、今後の重点投資領域

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

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増田 剛士
2019年4月に新卒でGAテクノロジーズに入社。Communication Design Centerにて広報やイベントの運営、社内システムの運用などに携わっています。
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2020/06/22
緊急事態宣言下に起きた変化と アフターコロナにおける重要なキーワード